神村発表へのコメントと議論の概要(コロキウム報告)

紹介者に伴われて, 日常的に接してくるという出会いであったが, 開始時点で拒否的にならずに治療構造にきちんと乗せている. これは行動療法でも重要なことである. 開始後も境界例では, 電話をかけて来たり, 突然現れたりなど, 治療構造を壊そうとする行動はよくみられることである. そのときに構造を守ることを第1順位としすぎると, 見捨てられたと考えて, リストカットをするところだなどの, より深刻な問題を投げかけてくる. 発表者は, クライエントに対しても枠組みをはずさないように対応している. そのクライエントのポジティブな行動に焦点を当てるということで, 対応し, 信頼関係ができている. セッシ...

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Bibliographic Details
Published in行動療法研究 Vol. 31; no. 1; p. 89
Main Author 佐々木, 和義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本認知・行動療法学会 31.03.2005
日本行動療法学会
Japanese Association for Behavioral and Cognitive Therapies( JABCT )
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ISSN0910-6529
2424-2594
DOI10.24468/jjbt.31.1_89

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Summary:紹介者に伴われて, 日常的に接してくるという出会いであったが, 開始時点で拒否的にならずに治療構造にきちんと乗せている. これは行動療法でも重要なことである. 開始後も境界例では, 電話をかけて来たり, 突然現れたりなど, 治療構造を壊そうとする行動はよくみられることである. そのときに構造を守ることを第1順位としすぎると, 見捨てられたと考えて, リストカットをするところだなどの, より深刻な問題を投げかけてくる. 発表者は, クライエントに対しても枠組みをはずさないように対応している. そのクライエントのポジティブな行動に焦点を当てるということで, 対応し, 信頼関係ができている. セッション中, クライエントは認知と情緒に分類される内在した問題をいろいろと提起している. これに対して, 発表者はスキーマや自動思考などの認知をすぐには取り上げずに, 最初は代替的なやり方を提言していて, クライエントは意外とすんなりと取り入れるということが繰り返されている. 認知面に過度に焦点を当てようとするクライエントに対して, 適応的な行動にも視点を与え, 行動という外在的な面から治療を進めようということであり, 適切な対応であったと評価できる.
ISSN:0910-6529
2424-2594
DOI:10.24468/jjbt.31.1_89