Helicobacter pyloriの除菌療法が著効をみたcap polyposisの1例
症例は68歳,女性.平成16年7月頻回の下痢,腹痛と低栄養状態のため精査加療目的で入院した.大腸内視鏡で直腸からS状結腸にかけて炎症性ポリープの多発による通過障害を認めたためS状結腸切除術を施行した.病理の結果は炎症性ポリープであった.平成19年,20年と症状の再燃で再入院し,大腸内視鏡で吻合部を中心にポリープの再発を認めた.炎症性腸疾患を疑い,ステロイド注腸,Mesalazineの内服を行ったが改善しなかった.臨床的特徴と頂部に白色粘液が付着した内視鏡の特徴的所見よりCap polyposis(以下CP)を強く疑った.胃内視鏡にてHelicobacter pylori(以下HP)陽性であった...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 10; pp. 2661 - 2664 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2010
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.71.2661 |
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Summary: | 症例は68歳,女性.平成16年7月頻回の下痢,腹痛と低栄養状態のため精査加療目的で入院した.大腸内視鏡で直腸からS状結腸にかけて炎症性ポリープの多発による通過障害を認めたためS状結腸切除術を施行した.病理の結果は炎症性ポリープであった.平成19年,20年と症状の再燃で再入院し,大腸内視鏡で吻合部を中心にポリープの再発を認めた.炎症性腸疾患を疑い,ステロイド注腸,Mesalazineの内服を行ったが改善しなかった.臨床的特徴と頂部に白色粘液が付着した内視鏡の特徴的所見よりCap polyposis(以下CP)を強く疑った.胃内視鏡にてHelicobacter pylori(以下HP)陽性であったため除菌療法を施行したところ,ポリープは消失し症状は劇的に改善した.CPの治療法は確立されたものはないがHPの除菌療法が著効した報告例が散見され文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.71.2661 |