母親の歯科保健に対する意識と保健行動の関連性 : 第2報 3歳児の母親を対象とした研究

1998年4月に3歳児健康診査を受診した286名の幼児の母親を対象として,歯科保健に関する意識調査を実施した。調査に用いた質問項目に対する回答は,1:非常にそう思う,2:そう思う,3:どちらともいえない,4:そう思わない,5:全くそう思わない,の5段階評価とした。分析の結果,う蝕は重大な病気だという「重大性」の認識,う蝕がないことは良いことだという「カリエスフリーの価値」の認識,予防行動をとることは価値ある行為だという「予防行動の価値」の認識,子供の歯の健康を守るのは親の役割だという「役割」の認識が高い人ほど子供の口腔内の状況に対する「関心]が高い傾向にあり,それらの認識は父親の援助等を含む育...

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Published inJOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 52; no. 1; pp. 2 - 11
Main Author 相澤, 文恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2002
日本口腔衛生学会
Japanese Society for Oral Health
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.52.1_2

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Summary:1998年4月に3歳児健康診査を受診した286名の幼児の母親を対象として,歯科保健に関する意識調査を実施した。調査に用いた質問項目に対する回答は,1:非常にそう思う,2:そう思う,3:どちらともいえない,4:そう思わない,5:全くそう思わない,の5段階評価とした。分析の結果,う蝕は重大な病気だという「重大性」の認識,う蝕がないことは良いことだという「カリエスフリーの価値」の認識,予防行動をとることは価値ある行為だという「予防行動の価値」の認識,子供の歯の健康を守るのは親の役割だという「役割」の認識が高い人ほど子供の口腔内の状況に対する「関心]が高い傾向にあり,それらの認識は父親の援助等を含む育児環境の差によって異なることが示された。また,歯科保健に関する知識を主に歯科医師や歯科診療所から得ている母親は,ほかの情報源をもつ母親より乳歯う蝕の重大性や予防目的での歯科受診の価値を強く感じている傾向にあり,上述の諸認識は準拠集団における集団規範の有無とともに歯科保健行動の実践に大きなかかわりを有することが示された。これらのことから,集団歯科健康診査時および歯科の定期受診時に上述の意識要因を用いて効果的な歯科保健指導が行われれば,母と子がより良い歯科保健行動を実践するための援助となる可能性が認められた。
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.52.1_2