アメーバ性大腸炎を合併した直腸癌に対し大腸ステント留置後に腹腔鏡下高位前方切除術にて切除しえた1例
症例は45歳の男性で,過去に男性との性交渉の経歴があった.半年前からの左側腹部痛を主訴に当科を紹介受診した.下部消化管内視鏡検査で直腸S状部に全周性の狭窄を伴う2型病変を認め,生検結果より直腸癌と診断した.腫瘍の肛門側に浮腫状で白苔を伴うタコイボ様隆起と多発する糜爛を認めた.内視鏡検体より赤痢アメーバ中体が検出され,アメーバ性大腸炎の合併と診断した.腹部造影CTでは直腸に造影効果を伴う壁肥厚と,大動脈周囲リンパ節および肝門部リンパ節の腫大を認めた.閉塞性腸炎による縫合不全のリスクを考慮し,術前に大腸ステントを留置した.20日間の抗菌薬加療後の下部消化管内視鏡検査ではアメーバ大腸炎の改善を認めた...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 12; pp. 884 - 891 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.12.2021
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2020.0080 |
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Summary: | 症例は45歳の男性で,過去に男性との性交渉の経歴があった.半年前からの左側腹部痛を主訴に当科を紹介受診した.下部消化管内視鏡検査で直腸S状部に全周性の狭窄を伴う2型病変を認め,生検結果より直腸癌と診断した.腫瘍の肛門側に浮腫状で白苔を伴うタコイボ様隆起と多発する糜爛を認めた.内視鏡検体より赤痢アメーバ中体が検出され,アメーバ性大腸炎の合併と診断した.腹部造影CTでは直腸に造影効果を伴う壁肥厚と,大動脈周囲リンパ節および肝門部リンパ節の腫大を認めた.閉塞性腸炎による縫合不全のリスクを考慮し,術前に大腸ステントを留置した.20日間の抗菌薬加療後の下部消化管内視鏡検査ではアメーバ大腸炎の改善を認めた.ステント留置42日後に,直腸癌に対して腹腔鏡下高位前方切除術を施行した.直腸癌の最終病理結果は,pT3N2M1 Stage IVであった.術後9日目に軽快退院した. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2020.0080 |