胃粘膜下腫瘍の形態を呈したIgG4関連硬化性疾患の1例

症例は85歳の男性で,糖尿病の悪化の原因精査で行ったCTにて胃前庭部から十二指腸球部にかけて淡く造影される4 cm大の腫瘍性病変を認めた.上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部に粘膜下腫瘍様隆起を認めた.超音波内視鏡検査では胃壁第4層に連続する低エコー腫瘤を認め,穿刺吸引生検を行うも確定診断には至らなかった.胃gastrointestinal stromal tumor(GIST)の術前診断のもと幽門側胃切除術を行った.腫瘍は肉眼的には淡褐色充実性,弾性硬の腫瘤であった.組織学的には固有筋層内に多数のリンパ濾胞が形成され,その周囲に無数の形質細胞の浸潤と線維化が見られた.酵素抗体法では形質細胞のほと...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 10; pp. 599 - 606
Main Authors 松本, 敏文, 川中, 博文, 増田, 崇, 皆尺寺, 悠史, 江頭, 明典, 田尻, 裕匡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.10.2018
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0161

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Summary:症例は85歳の男性で,糖尿病の悪化の原因精査で行ったCTにて胃前庭部から十二指腸球部にかけて淡く造影される4 cm大の腫瘍性病変を認めた.上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部に粘膜下腫瘍様隆起を認めた.超音波内視鏡検査では胃壁第4層に連続する低エコー腫瘤を認め,穿刺吸引生検を行うも確定診断には至らなかった.胃gastrointestinal stromal tumor(GIST)の術前診断のもと幽門側胃切除術を行った.腫瘍は肉眼的には淡褐色充実性,弾性硬の腫瘤であった.組織学的には固有筋層内に多数のリンパ濾胞が形成され,その周囲に無数の形質細胞の浸潤と線維化が見られた.酵素抗体法では形質細胞のほとんどがIgGおよびIgG4に陽性であった(IgG4/IgG=100%).術後採血検査にて高IgG4血症を確認した.以上の所見より,IgG4関連硬化性疾患と診断した.胃粘膜下腫瘍の形態を呈したまれなIgG4関連硬化性疾患の1例を経験したので報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0161