手術副損傷の予防と対策 鼻科領域
「I はじめに」内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の3大副損傷は, 視神経管や眼窩紙様板損傷による眼症状, 篩骨動脈などの血管損傷による眼窩内出血と前頭蓋底の穿破による髄液漏である. いずれの副損傷ともに術者が早期に認識すれば, 重大な症状を引き起こさないで済む. しかし, 最近では, 安易にシェーバーシステムを多用し, そのため術者が損傷を認識するのが遅れ, 重大な副損傷を来すことになる. 耳鼻咽喉科の医療訴訟で鼻科手術の割合は高く, 特に視器損傷が多い. あくまで術者は十分な基本操作を身につけ, 副損傷が生じた場合にも適切な対応ができるように努めることが重要である. 「II 損傷が起きやすい状況...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 117; no. 6; pp. 847 - 849 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.06.2014
日本耳鼻咽喉科学会 |
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ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.117.847 |
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Summary: | 「I はじめに」内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の3大副損傷は, 視神経管や眼窩紙様板損傷による眼症状, 篩骨動脈などの血管損傷による眼窩内出血と前頭蓋底の穿破による髄液漏である. いずれの副損傷ともに術者が早期に認識すれば, 重大な症状を引き起こさないで済む. しかし, 最近では, 安易にシェーバーシステムを多用し, そのため術者が損傷を認識するのが遅れ, 重大な副損傷を来すことになる. 耳鼻咽喉科の医療訴訟で鼻科手術の割合は高く, 特に視器損傷が多い. あくまで術者は十分な基本操作を身につけ, 副損傷が生じた場合にも適切な対応ができるように努めることが重要である. 「II 損傷が起きやすい状況」1)術野の出血が多くなり視野が確認しにくくなり, 盲目的な手術になりやすい場合 2)再手術例で解剖学的指標が消失あるいは変形している場合 3)以前に鼻副鼻腔外傷を受けたが無症状で放置され, 後に副鼻腔手術をする場合(特に内側壁の眼窩吹き抜け骨折では篩骨洞の手術操作で眼窩内容物を損傷させる危険がある) |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.117.847 |