地域の学童および保護者の歯科保健に関するQOLと学校歯科保健状況の関連

健全な口腔が人々の歯科保健に関するQOLに寄与しているという研究報告は少ない。そこで,学童の永久歯う蝕有病状況と永久歯う蝕に関するQOLとの関連について検討した。対象校は永久歯う蝕が少ないY小学校と永久歯う蝕が全国平均レベルのM小学校であり,対象者は両小学校の5〜6年生それぞれ148名,136名とその保護者,さらに養護教諭・学校歯科医および教育長である。学童およびその保護者には質問紙調査を,養護教諭,学校歯科医および教育長にはインタビュー調査を行った。質問項目およびインタビューの内容については,PRECEDE-PROCEED mode1の枠組みに基づいて作成した。主な結果は以下のとおりである。...

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Published inJOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 52; no. 2; pp. 119 - 134
Main Author 松尾, 忠行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2002
日本口腔衛生学会
Japanese Society for Oral Health
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.52.2_119

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Summary:健全な口腔が人々の歯科保健に関するQOLに寄与しているという研究報告は少ない。そこで,学童の永久歯う蝕有病状況と永久歯う蝕に関するQOLとの関連について検討した。対象校は永久歯う蝕が少ないY小学校と永久歯う蝕が全国平均レベルのM小学校であり,対象者は両小学校の5〜6年生それぞれ148名,136名とその保護者,さらに養護教諭・学校歯科医および教育長である。学童およびその保護者には質問紙調査を,養護教諭,学校歯科医および教育長にはインタビュー調査を行った。質問項目およびインタビューの内容については,PRECEDE-PROCEED mode1の枠組みに基づいて作成した。主な結果は以下のとおりである。1.永久歯う蝕に関連する学童および保護者の平均QOL得点を比較した結果,Y,M小学校の間に有意の差が認められ,DMFT-indexの値が低いY小学校の学童およびその保護者の永久歯う蝕に関するQOLが高いことが示唆された。2.永久歯う蝕有病状況に影響する要因の解析結果より「学校でのフッ化物洗口の実施」の影響力が最も大きい要因であった。よって,永久歯う蝕有病状況と永久歯う蝕に関するQOLの間には関連がみられ,その関連に大きく影響を与える因子は,フッ化物洗口の実施であると考えられた。
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.52.2_119