小学校児童における褐色窩溝を所有する第一大臼歯のう蝕進行率について
本研究は,小学生の第一大臼歯の,特に褐色窩溝についてう蝕発生リスクを把握することを目的に行われた。I村の小学1〜6年生633人を対象とした。う蝕予防活動として一般保健指導に加え,保育園の4,5歳児から施設ベースでのフッ化物洗口を経験している。第1次診査として定期学校歯科健診において要観察歯を検出した後,第2次診査として歯科医療機関で褐色窩溝とSticky Fissureを分類した。分析にあたっては,第2次診査により検出された褐色窩溝,86歯の6ヵ月間のう蝕進行率を算出し,第2次診査受診者の健全歯,168歯におけるう蝕進行率との比較により,相対危険度を求めた。また,第2次診査受診者を対象に6ヵ月...
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Published in | JOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 49; no. 3; pp. 324 - 328 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 口腔衛生学会
1999
日本口腔衛生学会 Japanese Society for Oral Health |
Subjects | |
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ISSN | 0023-2831 2189-7379 |
DOI | 10.5834/jdh.49.3_324 |
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Summary: | 本研究は,小学生の第一大臼歯の,特に褐色窩溝についてう蝕発生リスクを把握することを目的に行われた。I村の小学1〜6年生633人を対象とした。う蝕予防活動として一般保健指導に加え,保育園の4,5歳児から施設ベースでのフッ化物洗口を経験している。第1次診査として定期学校歯科健診において要観察歯を検出した後,第2次診査として歯科医療機関で褐色窩溝とSticky Fissureを分類した。分析にあたっては,第2次診査により検出された褐色窩溝,86歯の6ヵ月間のう蝕進行率を算出し,第2次診査受診者の健全歯,168歯におけるう蝕進行率との比較により,相対危険度を求めた。また,第2次診査受診者を対象に6ヵ月間のう蝕進行に影響を与える要因をロジスティック回帰分析により検討した。その際,6ヵ月間のう蝕進行の有無を従属変数に,ベースライン時点の学年,褐色窩溝歯数,Sticky Fissure歯数およびDMF歯数を独立変数にした。その結果,健全歯からう蝕に進行したのは,168歯中2歯で1.2%であり,褐色窩溝からう蝕に進行したのは,86歯中6歯で7.0%であった。両者のう蝕進行率の差は統計学的に有意であり(p=0.02,Fisherの直接確立計算法),健全歯に対する褐色突溝のう蝕進行における相対危険度は5.86であった。ロジスティック回帰分析によると,う蝕の進行に対して,DMF歯数のみが統計学的に有意であった(オッズ比:2.38,p=0.02)。褐色高溝に間しては個人のう蝕活動性に対する影響の小さいことが示唆された。また,褐色窩溝から9割以上はう蝕に進行しないことに加え,同一地区を対象にした調査より褐色窩溝はSticky Fissureよりう蝕進行率は低いことが推察された。したがって,要観察歯については褐色窩溝とSticky Fissureを区別してう蝕予防手段を講じる必要があり,そのためには,学校と歯科医療機関を連携させる新たなシステムを検討しなければならないと考察した。 |
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ISSN: | 0023-2831 2189-7379 |
DOI: | 10.5834/jdh.49.3_324 |