室温の違いによる背部清拭が皮膚温、鼓膜温および温熱感覚に及ぼす影響

看護手技としての身体清拭時には, 温タオルの温熱刺激による局部の温冷感のほか, 全身的な温冷感, さらに快不快などの温熱的感覚が発生しうる1). 室温は温熱感覚に影響する重要な要因である1)-4). たとえば冬期の清拭では寒さによる不快感が患者に与えるリスクも大きい. そのため清拭時の室温の調整は重要視されてきた. しかし, 病室ごとに室温の調整が可能な設備の整った施設は実際には多くないのが現状である. また, 設備が整っていたとしても多床室では他患者への配慮から調整が困難な場面に遭遇することもある. すなわち, 清拭時の室温や湿度の調整には限界があるといえる. 一般的には, 室温24℃では「...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 8; no. 4; pp. 217 - 223
Main Authors 山本, 敬子, 菅屋, 潤壹, 加藤, 雅子, 佐藤, 麻紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 2003
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Summary:看護手技としての身体清拭時には, 温タオルの温熱刺激による局部の温冷感のほか, 全身的な温冷感, さらに快不快などの温熱的感覚が発生しうる1). 室温は温熱感覚に影響する重要な要因である1)-4). たとえば冬期の清拭では寒さによる不快感が患者に与えるリスクも大きい. そのため清拭時の室温の調整は重要視されてきた. しかし, 病室ごとに室温の調整が可能な設備の整った施設は実際には多くないのが現状である. また, 設備が整っていたとしても多床室では他患者への配慮から調整が困難な場面に遭遇することもある. すなわち, 清拭時の室温や湿度の調整には限界があるといえる. 一般的には, 室温24℃では「45℃の湯で背部清拭をすると冷感」「50℃の湯で清拭した時にはちょうどよい」とされるなど4), 室温22-24℃, 湿度60%前後を前提とした清拭方法が推奨されている4)-7). そのため, 室温が低い時には清拭のプロセスの中で, 何を考慮すれば, 寒気を最小にできるのかなど, おかれた環境条件のなかでの問題解決につながる証拠を探すのに苦労する.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.8.4_217