扁桃疾患の診断と治療

「はじめに」耳鼻咽喉科は「扁摘(扁桃摘出術)に始まり扁摘に終わる」と言われることがある. それほどわれわれ耳鼻咽喉科医にとって, 扁桃疾患は基本的かつ身近であり, 専攻医や指導医に限らず扱う頻度が高い疾患のひとつである. 咽頭には, 口蓋扁桃, 咽頭扁桃, 耳管扁桃, 舌扁桃により環状のワルダイエル咽頭輪が形成され, 生体防御機構において重要な役割を担っている. 中でも口蓋扁桃が最も大きく, かつ臨床的にも重要であることから, 一般に扁桃といえば口蓋扁桃を示すことが多い. 本稿でも主として口蓋扁桃について述べることとする. 口蓋扁桃は扁桃洞(前・口蓋弓溝の間の凹窩)に位置し, 輸入リンパ管をも...

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Published in日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 127; no. 2; pp. 131 - 134
Main Author 高野, 賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 20.02.2024
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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ISSN2436-5793
2436-5866
DOI10.3950/jibiinkotokeibu.127.2_131

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Summary:「はじめに」耳鼻咽喉科は「扁摘(扁桃摘出術)に始まり扁摘に終わる」と言われることがある. それほどわれわれ耳鼻咽喉科医にとって, 扁桃疾患は基本的かつ身近であり, 専攻医や指導医に限らず扱う頻度が高い疾患のひとつである. 咽頭には, 口蓋扁桃, 咽頭扁桃, 耳管扁桃, 舌扁桃により環状のワルダイエル咽頭輪が形成され, 生体防御機構において重要な役割を担っている. 中でも口蓋扁桃が最も大きく, かつ臨床的にも重要であることから, 一般に扁桃といえば口蓋扁桃を示すことが多い. 本稿でも主として口蓋扁桃について述べることとする. 口蓋扁桃は扁桃洞(前・口蓋弓溝の間の凹窩)に位置し, 輸入リンパ管をもたない. また, 上皮が扁桃内に枝分かれするように陥入する "陰窩" と呼ばれる特殊な構造がみられる. 陰窩の深部にはバリア機能が減弱した陰窩上皮と扁桃実質内のリンパ球が混在する特徴的なリンパ上皮共生がみられ, M細胞, マクロファージ, 樹状細胞により外来抗原が認識され, 濾胞内でB細胞の活性化や抗体のクラススイッチが行われている.
ISSN:2436-5793
2436-5866
DOI:10.3950/jibiinkotokeibu.127.2_131