TEES における骨削開術の適応と基本手技
手術ビデオシステムの技術革新に伴い, 経外耳道的内視鏡下耳科手術 (TEES) が普及してきている. TEES では広角な視野により一視野で鼓室の全体像を把握することが可能であり, 斜視鏡の使用や接近操作により死角の少ない拡大した視野を得ることができる. さらに TEES は耳後切開が不要であり, 術後疼痛も少ないため, 低侵襲手術とも言える. 中耳真珠腫に対する TEES では, 真珠腫全体像を明視下にするために経外耳道的上鼓室開放術 (TCA) や経外耳道的上鼓室乳突洞開放術 (TCAA) などの骨削開が必要となり, 鋼製小物の鋭匙やノミ・ツチ, 電動機器の超音波手術器やカーブバーが用い...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 128; no. 3; pp. 189 - 194 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
20.03.2025
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 |
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Summary: | 手術ビデオシステムの技術革新に伴い, 経外耳道的内視鏡下耳科手術 (TEES) が普及してきている. TEES では広角な視野により一視野で鼓室の全体像を把握することが可能であり, 斜視鏡の使用や接近操作により死角の少ない拡大した視野を得ることができる. さらに TEES は耳後切開が不要であり, 術後疼痛も少ないため, 低侵襲手術とも言える. 中耳真珠腫に対する TEES では, 真珠腫全体像を明視下にするために経外耳道的上鼓室開放術 (TCA) や経外耳道的上鼓室乳突洞開放術 (TCAA) などの骨削開が必要となり, 鋼製小物の鋭匙やノミ・ツチ, 電動機器の超音波手術器やカーブバーが用いられる. 超音波手術器は先端が回転しないため軟組織の巻き込みがないという利点がある. 超音波手術器はこれまで脳神経外科や脊椎外科で使用されてきたが, 耳科手術に用いた場合でも内耳障害のリスクは少ないと考えられている. イリゲーション機能を備えたカーブバーによる underwater 法は, 常に灌流しながら骨削開を行うことで明瞭な術野を得ることができるが, 巻き込みや真珠腫母膜片の播種に配慮する必要がある. 外耳道骨腫や外耳道狭窄に対しての TEES による canal plasty は有用性の高い手術手技である. TEES における骨削開では, 使用する手術機器の特性を理解し, 適切に選択し, 正しく使用することで, keyhole surgery かつ one-handed surgery である TEES でも安全・確実な真珠腫手術や canal plasty が可能となる. |
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ISSN: | 2436-5793 2436-5866 |
DOI: | 10.3950/jibiinkotokeibu.128.3_189 |