地域の嚥下障害診療に参入するために―広島県での取り組み
嚥下障害診療において多職種が協働してチームを組み, 方針を決め臨床業務を推進することができれば, 患者と家族にとって有益であると考える. 近年, 地域の嚥下障害診療に参入する耳鼻咽喉科医の数は徐々に増加してきているが, まだ十分とは言いがたい. 参入が進まない要因としては, 嚥下機能評価法に習得が必要なこと, 嚥下診療にかかわる職種の所属先がバラバラで連携が難しいこと等が挙げられる. これらに加えて,耳鼻咽喉科医が地域の嚥下障害診療に参入しやすい多職種連携の体制が構築されていないこと, 耳鼻咽喉科医が嚥下障害診療にかかわるメリットが他の医療職, 介護職, 行政, 医師会等によく認識されていない...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 128; no. 3; pp. 182 - 188 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
20.03.2025
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 |
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Summary: | 嚥下障害診療において多職種が協働してチームを組み, 方針を決め臨床業務を推進することができれば, 患者と家族にとって有益であると考える. 近年, 地域の嚥下障害診療に参入する耳鼻咽喉科医の数は徐々に増加してきているが, まだ十分とは言いがたい. 参入が進まない要因としては, 嚥下機能評価法に習得が必要なこと, 嚥下診療にかかわる職種の所属先がバラバラで連携が難しいこと等が挙げられる. これらに加えて,耳鼻咽喉科医が地域の嚥下障害診療に参入しやすい多職種連携の体制が構築されていないこと, 耳鼻咽喉科医が嚥下障害診療にかかわるメリットが他の医療職, 介護職, 行政, 医師会等によく認識されていないことも要因であると考える. こうした状況を改善できれば, 耳鼻咽喉科医が地域の嚥下診療に参入しやすくなるのではないかと考える. 本稿では,嚥下障害診療に関する広島市と地方部会の委員会の取り組みや活動について紹介し,耳鼻咽喉科医が地域の嚥下診療に参入するための啓発と教育,情報発信,環境設定,診療支援の重要性について述べる.あわせて,行政や医師会との連携,嚥下障害診療における病診連携体制について考える. より多くの耳鼻咽喉科医が嚥下障害診療に参入し,地域の嚥下障害診療に貢献できるような取り組みや活動を継続して行うことが重要であると考える. |
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ISSN: | 2436-5793 2436-5866 |
DOI: | 10.3950/jibiinkotokeibu.128.3_182 |