小児音声言語障害の現状と今後の課題 就学児童の吃音への対応
「1. 児童の吃音の頻度と現状」吃音は発達性, 神経原性, 心理原性を区別し, 児童の吃音はほとんどが発達性であるが, 一部は神経原性がある1). 典型的には2~5歳の言語が急速に発達する幼児期に発症したものが遷延して学童期に至る. 男女比は約4:1である2). 吃音は小児の言語障害の中でも構音障害に次いで多く, 約1%の有病率があるが, 「(聞こえと)ことばの教室」に通級する生徒は全国平均では0.1%未満である. 吃音への対応が進んでいる一部の地域ではこれより高いが, ほとんどの地域では吃音への対応が不十分だと考えられる. 他方, 学童期以降の吃音の治療ができる医療機関は少なく, 耳鼻咽喉科...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 116; no. 8; pp. 992 - 994 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.08.2013
日本耳鼻咽喉科学会 |
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ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.116.992 |
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Summary: | 「1. 児童の吃音の頻度と現状」吃音は発達性, 神経原性, 心理原性を区別し, 児童の吃音はほとんどが発達性であるが, 一部は神経原性がある1). 典型的には2~5歳の言語が急速に発達する幼児期に発症したものが遷延して学童期に至る. 男女比は約4:1である2). 吃音は小児の言語障害の中でも構音障害に次いで多く, 約1%の有病率があるが, 「(聞こえと)ことばの教室」に通級する生徒は全国平均では0.1%未満である. 吃音への対応が進んでいる一部の地域ではこれより高いが, ほとんどの地域では吃音への対応が不十分だと考えられる. 他方, 学童期以降の吃音の治療ができる医療機関は少なく, 耳鼻咽喉科医の役割に期待されるところが大きい. 「2. 症状と診断」吃音は, 中核症状(後述)が高頻度(3%以上とすることが多い)にあり, さらに2次的な症状があることで診断するが, 状況依存性が大きく, 短い発話や診察場面で症状が出ないことで吃音を除外することはできない1). |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.116.992 |