非反回下喉頭神経の術前診断 CTおよび超音波検査の有用性

【目的】今回, われわれは右側の非反回下喉頭神経 (NRILN) の術前診断においてのCTと超音波検査 (US) の有用性について検討した. 【対象と方法】対象は2006年4月から2012年4月までにやましたクリニックで甲状腺手術を施行し, 術中に右下喉頭神経を確認した1,561例. 術前に頸胸部CTを1,086例に, 腕頭動脈分岐部確認目的の頸部USを140例に施行し, 右NRILNの診断におけるCTとUSの有用性について検討した. 【結果】1,561例中11例に右NRILNを認めた (0.71%). CT施行1,086例中10例に右鎖骨下動脈起始異常を認め, 右NRILNを術前に予測するこ...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 116; no. 7; pp. 793 - 801
Main Authors 横井, 忠郎, 橘, 正剛, 山下, 弘幸, 佐藤, 伸也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.07.2013
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.116.793

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Summary:【目的】今回, われわれは右側の非反回下喉頭神経 (NRILN) の術前診断においてのCTと超音波検査 (US) の有用性について検討した. 【対象と方法】対象は2006年4月から2012年4月までにやましたクリニックで甲状腺手術を施行し, 術中に右下喉頭神経を確認した1,561例. 術前に頸胸部CTを1,086例に, 腕頭動脈分岐部確認目的の頸部USを140例に施行し, 右NRILNの診断におけるCTとUSの有用性について検討した. 【結果】1,561例中11例に右NRILNを認めた (0.71%). CT施行1,086例中10例に右鎖骨下動脈起始異常を認め, 右NRILNを術前に予測することができた. CTの右NRILNの検出能は, 感度100%, 特異度100%, 陽性的中率100%, 陰性的中率100%であった. 頸部US施行140例中116例 (82.9%) で腕頭動脈分岐部を確認することができ, 右NRILNではないことを術前に予測できたが, 24例では腕頭動脈分岐部を確認できず, その24例中1例のみが実際に右NRILNであった. USでの右NRILNの検出能は感度100%, 特異度83.5%, 陽性的中率4.2%, 陰性的中率100%であった. 【結語】CTは右NRILNの存在を正確に診断できていた. USは‘右下喉頭神経が正常な走行であること’ を82.9%という高い率で予測できる点で有用な検査であった.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.116.793