自己愛人格傾向についての素因–ストレスモデルによる検討

自己愛人格傾向がストレスに脆弱な素因であるかを検討するために,大学生174名(男性72名,女性102名)を対象として縦断的調査を行った。自己愛人格傾向の高い者は最近1ヶ月以内のストレッサー経験量が多いと精神的健康が低下するという仮説を立て,精神的健康のネガティブな側面をストレス反応,ポジティブな側面をハッピネスとして測定した。階層的重回帰分析の結果,自己愛人格傾向の高い者がストレスイベントを多く経験した場合,男性では抑うつ反応および自律神経系活動性亢進反応,女性では身体的疲労感が増加し,一方ストレスの少ない状況ではこれらのストレス反応が自己愛人格傾向の低い者や平均的な者に比べて最も少なかった。...

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Published inパーソナリティ研究 Vol. 17; no. 1; pp. 29 - 38
Main Authors 小西, 瑞穂, 山田, 尚登, 佐藤, 豪
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本パーソナリティ心理学会 2008
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Summary:自己愛人格傾向がストレスに脆弱な素因であるかを検討するために,大学生174名(男性72名,女性102名)を対象として縦断的調査を行った。自己愛人格傾向の高い者は最近1ヶ月以内のストレッサー経験量が多いと精神的健康が低下するという仮説を立て,精神的健康のネガティブな側面をストレス反応,ポジティブな側面をハッピネスとして測定した。階層的重回帰分析の結果,自己愛人格傾向の高い者がストレスイベントを多く経験した場合,男性では抑うつ反応および自律神経系活動性亢進反応,女性では身体的疲労感が増加し,一方ストレスの少ない状況ではこれらのストレス反応が自己愛人格傾向の低い者や平均的な者に比べて最も少なかった。つまり,自己愛人格傾向には個人の精神的健康を部分的に支える働きがあるが,それはストレスの少ない状況に限定されたものであり,ストレスの多い状況ではストレス反応を生起しやすい,ストレスに脆弱な素因と考えられる。
ISSN:1348-8406
1349-6174
DOI:10.2132/personality.17.29