アルギニン滋養飲料投与により手術部位感染(緑膿菌)による創し開部の著しい改善をみた1小児肺低形成例

緑膿菌による創感染では感染創の改善に時間を要することがある。われわれは、頚部手術後の手術部位緑膿菌感染による創し開に対し、感染のコントロールができた状態で創洗浄とアルギニン滋養飲料(アルジネード®)投与を含めた栄養管理を行い、創の著しい改善をみた小児例を経験した。 【症例】症例は2歳女児。基礎疾患は巨大臍帯ヘルニア(術後)、肺低形成。基礎疾患のため、1歳4ヶ月時に気管切開を施行した。その後CPAP(continuous positive airway pressure)管理で呼吸状態は安定したが、頻回の嚥下性肺炎を認めた。精査にて喉頭機能不全が存在し、2歳2ヶ月で喉頭気管分離術を行った。術後7...

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Published in静脈経腸栄養 Vol. 23; no. 4; pp. 653 - 657
Main Authors 増本, 幸二, 中辻, 隆徳, 間野, 洋平, 和田, 美香, 竹野, みどり, 都地, 里美, 浦部, 由紀, 山口, 貞子, 田口, 智章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈経腸栄養学会 2008
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Summary:緑膿菌による創感染では感染創の改善に時間を要することがある。われわれは、頚部手術後の手術部位緑膿菌感染による創し開に対し、感染のコントロールができた状態で創洗浄とアルギニン滋養飲料(アルジネード®)投与を含めた栄養管理を行い、創の著しい改善をみた小児例を経験した。 【症例】症例は2歳女児。基礎疾患は巨大臍帯ヘルニア(術後)、肺低形成。基礎疾患のため、1歳4ヶ月時に気管切開を施行した。その後CPAP(continuous positive airway pressure)管理で呼吸状態は安定したが、頻回の嚥下性肺炎を認めた。精査にて喉頭機能不全が存在し、2歳2ヶ月で喉頭気管分離術を行った。術後7日目に手術部位感染を認め、その後創し開となった。起因菌は気管孔からの緑膿菌であった。創に対して局所洗浄を行うとともに、経腸栄養にて適切な栄養管理を行い、アルギニン滋養飲料併用投与を行った。創部は順調に改善し、術後1ヶ月で気管孔の創し開部は深部が肉芽組織に置き換わり、上皮化が進み良好な状態となった。 【まとめ】小児の手術部位感染に伴う創し開例にアルギニン滋養飲料を使用した。感染のコントロールができた状態で、創洗浄を行うとともに、適切な栄養管理に加えて、アルギニン滋養飲料を併用したことで、感染部位の早期の治癒を認め、本飲料の併用は創傷治癒促進効果が期待できる可能性があると考えられた。
ISSN:1344-4980
1881-3623
DOI:10.11244/jjspen.23.653