本邦における鼻副鼻腔腫瘍に対する内視鏡下経鼻手術の現況と課題 全国アンケートからの解析結果

内視鏡下経鼻手術は, 鼻副鼻腔の炎症性疾患や形態異常の治療に利用されるだけではなく, 腫瘍切除への応用も進んでいる. われわれは, 鼻副鼻腔悪性腫瘍に対する内視鏡下経鼻手術の標準化案を作成するために, 本邦における内視鏡下経鼻手術による腫瘍切除の現況をアンケート調査することで鼻副鼻腔腫瘍の治療における今後の課題を検討した. アンケートは, 日本耳鼻咽喉科学会認定施設633施設に送付し, 433施設 (68.4%) より回答が得られた. 鼻副鼻腔に発生した内反性乳頭腫の切除手術に内視鏡下経鼻手術を導入している施設は390施設 (90.1%) 存在し, 上顎洞と前頭洞に腫瘍が占拠する場合には外切開...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 121; no. 2; pp. 119 - 126
Main Authors 花澤, 豊行, 有泉, 陽介, 小林, 正佳, 丹生, 健一, 児玉, 悟, 讃岐, 徹治, 朝蔭, 孝宏, 中川, 隆之, 田中, 秀峰, 鴻, 信義, 藤本, 保志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.02.2018
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.121.119

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Summary:内視鏡下経鼻手術は, 鼻副鼻腔の炎症性疾患や形態異常の治療に利用されるだけではなく, 腫瘍切除への応用も進んでいる. われわれは, 鼻副鼻腔悪性腫瘍に対する内視鏡下経鼻手術の標準化案を作成するために, 本邦における内視鏡下経鼻手術による腫瘍切除の現況をアンケート調査することで鼻副鼻腔腫瘍の治療における今後の課題を検討した. アンケートは, 日本耳鼻咽喉科学会認定施設633施設に送付し, 433施設 (68.4%) より回答が得られた. 鼻副鼻腔に発生した内反性乳頭腫の切除手術に内視鏡下経鼻手術を導入している施設は390施設 (90.1%) 存在し, 上顎洞と前頭洞に腫瘍が占拠する場合には外切開の併施が必要となることが多いことを確認した. 鼻副鼻腔悪性腫瘍に対して頭蓋底手術を施行する施設は95施設 (21.9%) 存在し, 頭蓋底手術に内視鏡下経鼻手術を単独もしくは併用として導入する施設は95施設中82施設 (86.3%) 存在することが確認できた. 鼻副鼻腔悪性腫瘍に対する内視鏡下経鼻手術という新たな領域において, より安全で根治性の高い標準化案を作成し, 多くの施設の協力のもとに前向きの臨床試験を行うことで世界に通用するものとし, 国民の利益に還元できるよう発展させなければならないと考える.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.121.119