脳への塞栓源としての大動脈弓部粥腫の超音波診断
「はじめに」大動脈の上行部から弓部は脳への循環より中枢側に位置するため,同部の粥腫は脳塞栓の原因となり得る.しかしながら1980年代までは脳卒中と大動脈病変の関連が論じられたことは極めて稀であり,1990年代に各種画像診断,とくに経食道心エコー(transesophageal echocardiography:TEE)が普及してから,いわゆるaortogenicembolicstroke(大動脈原性脳塞栓症)iglの重要性がはじめて学会や専門誌で採り上げられるようになった.大動脈弓部粥腫の超音波診断法は統一されておらず,現在日本脳神経超音波学会でガイドラインを作成中である.ここでは,脳塞栓源と...
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Published in | Neurosonology Vol. 18; no. 2+3; pp. 58 - 62 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本脳神経超音波学会
2005
日本脳神経超音波学会 |
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ISSN | 0917-074X |
DOI | 10.2301/neurosonology.18.58 |
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Summary: | 「はじめに」大動脈の上行部から弓部は脳への循環より中枢側に位置するため,同部の粥腫は脳塞栓の原因となり得る.しかしながら1980年代までは脳卒中と大動脈病変の関連が論じられたことは極めて稀であり,1990年代に各種画像診断,とくに経食道心エコー(transesophageal echocardiography:TEE)が普及してから,いわゆるaortogenicembolicstroke(大動脈原性脳塞栓症)iglの重要性がはじめて学会や専門誌で採り上げられるようになった.大動脈弓部粥腫の超音波診断法は統一されておらず,現在日本脳神経超音波学会でガイドラインを作成中である.ここでは,脳塞栓源としての大動脈粥腫病変の意義を解説する.「脳塞栓源としての大動脈病変:病理学的探求」大動脈弓の粥腫は,高齢者に好発する病態である.大動脈の動脈硬化は,病理学的に正常,びまん性内膜肥厚,単純粥腫,複合病変の4段階に分けられ,複合病変は潰瘍や石灰化などを含む動脈硬化の最終型で,塞栓源たり得る状態といえる(Fig.1 19). |
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ISSN: | 0917-074X |
DOI: | 10.2301/neurosonology.18.58 |