食道裂孔ヘルニアによる胃壊死に対して開腹開胸手術を行った1例

症例は84歳の女性で,経口摂取不良にて近医より紹介受診した.上部消化管内視鏡検査により胃粘膜の壊死を認め,またCTでは胃噴門側の食道裂孔ヘルニアを認めた.食道裂孔ヘルニア嵌頓による胃壊死の術前診断にて緊急手術を行った.開腹すると胃は黒色に変化し食道裂孔に嵌頓していた.噴門側の胃は全層で壊死しており,噴門側胃切除が必要と判断されたが食道に炎症が波及しており,右開胸を行って下部食道切除および噴門側胃切除と胃管再建による胸腔内端々吻合を行った.食道裂孔ヘルニアによる胃壊死は比較的まれな疾患である.開胸・開腹による胃・下部食道切除が必要となる例はさらに少ないと思われる.80歳を超える高齢者に発症した胃...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 9; pp. 551 - 557
Main Authors 田根, 雄一郎, 太平, 周作, 田口, 泰郎, 岡田, 禎人, 蟹江, 恭和, 石田, 陽祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.2018
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0081

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Summary:症例は84歳の女性で,経口摂取不良にて近医より紹介受診した.上部消化管内視鏡検査により胃粘膜の壊死を認め,またCTでは胃噴門側の食道裂孔ヘルニアを認めた.食道裂孔ヘルニア嵌頓による胃壊死の術前診断にて緊急手術を行った.開腹すると胃は黒色に変化し食道裂孔に嵌頓していた.噴門側の胃は全層で壊死しており,噴門側胃切除が必要と判断されたが食道に炎症が波及しており,右開胸を行って下部食道切除および噴門側胃切除と胃管再建による胸腔内端々吻合を行った.食道裂孔ヘルニアによる胃壊死は比較的まれな疾患である.開胸・開腹による胃・下部食道切除が必要となる例はさらに少ないと思われる.80歳を超える高齢者に発症した胃壊死を救命しえたものの,縫合不全をはじめとする重篤な合併症を発症し課題も残った.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0081