腹腔鏡下手術で治療した横隔膜傍裂孔へルニアの1例

症例は32歳の女性で,腹痛,嘔吐を主訴に当院を受診した.外傷歴はなく,6か月前に横隔膜ヘルニアと診断されたが無症状のため経過観察となっていた.4か月前より食後の腹部不快感を自覚するようになり,5 kgの体重減少も認めた.胸腹部CTでは,食道裂孔左側で胃が胸腔内に脱出しており,腹部食道と脱出胃の間に左横隔膜脚を認めたため,横隔膜傍裂孔ヘルニアと診断した.治療は腹腔鏡下にヘルニア内容を還納し,ヘルニア門の直接縫合を行った.横隔膜傍裂孔ヘルニアは食道裂孔近傍の横隔膜にヘルニア門を形成し,ヘルニア門と食道裂孔の間に横隔膜組織が介在しており,傍食道型の食道裂孔へルニアとは異なる疾患である.一般に診断は難...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 55; no. 1; pp. 18 - 24
Main Authors 谷口, 礼, 寺田, 逸郎, 材木, 良輔, 橋本, 聖史, 東, 勇気, 月岡, 雄治, 武居, 亮平, 青木, 斐子, 寺川, 裕史, 桐山, 正人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.01.2022
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2021.0018

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Summary:症例は32歳の女性で,腹痛,嘔吐を主訴に当院を受診した.外傷歴はなく,6か月前に横隔膜ヘルニアと診断されたが無症状のため経過観察となっていた.4か月前より食後の腹部不快感を自覚するようになり,5 kgの体重減少も認めた.胸腹部CTでは,食道裂孔左側で胃が胸腔内に脱出しており,腹部食道と脱出胃の間に左横隔膜脚を認めたため,横隔膜傍裂孔ヘルニアと診断した.治療は腹腔鏡下にヘルニア内容を還納し,ヘルニア門の直接縫合を行った.横隔膜傍裂孔ヘルニアは食道裂孔近傍の横隔膜にヘルニア門を形成し,ヘルニア門と食道裂孔の間に横隔膜組織が介在しており,傍食道型の食道裂孔へルニアとは異なる疾患である.一般に診断は難しいとされるが,CTによる詳細な観察で診断は可能である,治療には外科的処置が必要であるが,腹腔鏡手術は低侵襲で術視野もよく有用な治療法と考えられたので,報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2021.0018