二期分割手術で救命しえた術中心停止を伴う胃潰瘍心室穿破の1例

症例は65歳の男性で,1999年に胃消化管間質腫瘍に対して開腹下に噴門側胃切除,食道-残胃間有茎空腸間置術を施行した.2007年に残胃潰瘍,心囊穿通による心筋炎のため抗菌薬治療,2008年に残胃潰瘍のため残胃部分切除,有茎空腸-残胃再吻合術を施行した.2016年,吐血を主訴に受診し,内視鏡的に止血困難な残胃潰瘍出血を認め,緊急開腹手術を施行した.残胃を開窓すると残胃潰瘍左心室穿破による出血があり,心室細動を発症した.除細動を施行し,フェルトプレジェット付き針糸で縫合した.胸骨縦切開,左前方開胸を加えた時点で,再度心室細動あり,除細動後,人工心肺に接続した.出血部位に挙上空腸間膜パッチを施行し,...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 9; pp. 558 - 565
Main Authors 高山, 祐一, 前田, 敦行, 深見, 保之, 高橋, 崇真, 寺﨑, 史浩, 金岡, 祐次, 宇治, 誠人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.2018
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0121

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Summary:症例は65歳の男性で,1999年に胃消化管間質腫瘍に対して開腹下に噴門側胃切除,食道-残胃間有茎空腸間置術を施行した.2007年に残胃潰瘍,心囊穿通による心筋炎のため抗菌薬治療,2008年に残胃潰瘍のため残胃部分切除,有茎空腸-残胃再吻合術を施行した.2016年,吐血を主訴に受診し,内視鏡的に止血困難な残胃潰瘍出血を認め,緊急開腹手術を施行した.残胃を開窓すると残胃潰瘍左心室穿破による出血があり,心室細動を発症した.除細動を施行し,フェルトプレジェット付き針糸で縫合した.胸骨縦切開,左前方開胸を加えた時点で,再度心室細動あり,除細動後,人工心肺に接続した.出血部位に挙上空腸間膜パッチを施行し,止血を得て閉創した.5日後に,汚染された残胃-間置空腸吻合部分は切除し,同部に再度小腸間膜パッチを充て,Roux-en Y再建による食道空腸吻合術を施行した.術後1年の現在,無症状で通院中である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0121