術後16年目に発見された胃神経内分泌腫瘍腹膜播種再発の1例

患者は47歳の女性で,1998年に漿膜外に露出する胃カルチノイドに対し幽門側胃切除を施行されている.2014年に末梢血好酸球増多の精査で施行したCTにて横行結腸間膜,右卵巣近傍,左結腸近傍,骨盤内に腫瘤を認めた.組織診断のため横行結腸間膜の腫瘤を切除し,胃神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor;以下,NETと略記)Grade 2(以下,G2と略記)と診断した.16年前の胃カルチノイドの腹膜再発と考え,残り3か所の腫瘤も切除しNET G2と診断した.翌年に横行結腸間膜とダグラス窩に再発し切除した.腹膜播種遺残に対して持続性ソマトスタチンアナログを8回投与したが,モリソン窩とダグ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 8; pp. 520 - 528
Main Authors 佐々木, 省三, 倉田, 徹, 萩野, 茂太, 庄司, 泰弘, 寺田, 逸郎, 吉川, 朱実, 北川, 裕久, 藤村, 隆, 泉, 良平, 齋藤, 勝彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.08.2018
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Summary:患者は47歳の女性で,1998年に漿膜外に露出する胃カルチノイドに対し幽門側胃切除を施行されている.2014年に末梢血好酸球増多の精査で施行したCTにて横行結腸間膜,右卵巣近傍,左結腸近傍,骨盤内に腫瘤を認めた.組織診断のため横行結腸間膜の腫瘤を切除し,胃神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor;以下,NETと略記)Grade 2(以下,G2と略記)と診断した.16年前の胃カルチノイドの腹膜再発と考え,残り3か所の腫瘤も切除しNET G2と診断した.翌年に横行結腸間膜とダグラス窩に再発し切除した.腹膜播種遺残に対して持続性ソマトスタチンアナログを8回投与したが,モリソン窩とダグラス窩に再発結節が出現し中止した.発育速度が非常に遅いため,以後は症状を示す可能性のある病変の出現時に加療を行う方針とした.今回,非常にまれである胃NET G2の腹膜播種再発症例を経験したので報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0176