食道癌術後に再建胃管潰瘍が心囊内に穿孔し緊急手術で救命しえた1例
食道癌術後に,再建胃管潰瘍が心囊内に穿孔した1例を経験した.症例は64歳の女性で,進行食道癌に対し胸腔鏡補助下食道切除,胸骨後胃管再建術を受け,術後に補助化学放射線療法を実施した.術後10か月後胸部痛が出現し,当院受診となった.CTにて鏡面像を伴う心囊液貯留,左胸水,縦隔気腫を認め,経口造影検査を施行したところ,心囊内への造影剤流出を認めた.再建胃管の心囊への穿孔,の診断で緊急手術を施行した.左後側方開胸し,心囊を開放すると多量の食物残渣が排出し,右心室側心囊に8 mm大の胃管潰瘍穿孔を認めた.同部位に心囊側からT-tubeを挿入し,胸腔洗浄後,心囊,胸腔にドレナージチューブを留置した.術後1...
Saved in:
Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 52; no. 3; pp. 137 - 145 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.03.2019
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2017.0210 |
Cover
Summary: | 食道癌術後に,再建胃管潰瘍が心囊内に穿孔した1例を経験した.症例は64歳の女性で,進行食道癌に対し胸腔鏡補助下食道切除,胸骨後胃管再建術を受け,術後に補助化学放射線療法を実施した.術後10か月後胸部痛が出現し,当院受診となった.CTにて鏡面像を伴う心囊液貯留,左胸水,縦隔気腫を認め,経口造影検査を施行したところ,心囊内への造影剤流出を認めた.再建胃管の心囊への穿孔,の診断で緊急手術を施行した.左後側方開胸し,心囊を開放すると多量の食物残渣が排出し,右心室側心囊に8 mm大の胃管潰瘍穿孔を認めた.同部位に心囊側からT-tubeを挿入し,胸腔洗浄後,心囊,胸腔にドレナージチューブを留置した.術後19日目に経口摂取を開始し,47日目に自宅退院となった.食道癌術後に胃管潰瘍が心囊に穿孔することは比較的まれであり,保存的治療では致死率が高く,迅速な外科的ドレナージが必要と考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2017.0210 |