発生から増大経過を観察しえた脾リンパ管腫の1切除例

リンパ管腫は通常,小児に発生するまれなリンパ管奇形であり,成人例での報告は少ない.今回,新規発生から増大経過を観察し,腹腔鏡下手術で切除した成人脾リンパ管腫の1例を経験したため報告する.症例は73歳の女性で,約2年前のCTでは脾臓に病変を認めなかったが,他疾患精査のCTで脾臓に19 mm大の単房性囊胞性病変を認めた.その後3年5か月間経過観察していたが,50 mm大の多房性囊胞性病変へと増大を認めたため,腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.標本の割面で大小さまざまな多房性囊胞性病変を認め,囊胞の内容物は淡黄色の液体であった.病理組織検査では囊胞壁は1層の扁平な内皮で覆われており,内腔に好酸性の液体貯...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 52; no. 6; pp. 298 - 306
Main Authors 沢, 秀博, 横山, 邦雄, 三宅, 泰一郎, 前田, 詠理, 今井, 幸弘, 阿部, 紘一郎, 田中, 智浩, 金田, 邦彦, 上月, 章史, 髙松, 学, 北村, 悟, 西村, 透
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2019
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2018.0123

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Summary:リンパ管腫は通常,小児に発生するまれなリンパ管奇形であり,成人例での報告は少ない.今回,新規発生から増大経過を観察し,腹腔鏡下手術で切除した成人脾リンパ管腫の1例を経験したため報告する.症例は73歳の女性で,約2年前のCTでは脾臓に病変を認めなかったが,他疾患精査のCTで脾臓に19 mm大の単房性囊胞性病変を認めた.その後3年5か月間経過観察していたが,50 mm大の多房性囊胞性病変へと増大を認めたため,腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.標本の割面で大小さまざまな多房性囊胞性病変を認め,囊胞の内容物は淡黄色の液体であった.病理組織検査では囊胞壁は1層の扁平な内皮で覆われており,内腔に好酸性の液体貯留が散見された.内皮細胞の免疫組織学的検査ではCD34が陰性,D2-40がごく一部で弱陽性であり,CD31,Prox-1が陽性であったことから,リンパ管腫と診断した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2018.0123