歯科矯正治療における顎関節内障患者の下顎位
臨床のポイント 顎関節内障を伴う不正咬合患者の歯科矯正治療には明確な指針がなく, その下顎位の設定に苦慮することが少なくない. このような患者の下顎位が, 一過性の安定を得ていても, 矯正治療では, 長期予後に不安の残る状態であれば積極的に安定位を求める必要がある. したがって, 我々は下顎位の安定性を得るために必要であれば, 急性症状の消失後, 種々の方法により積極的な関節円板の整復を試みている. 特に難治症例に対しては, 持続的顎矯正力を応用しており, その治療効果は, 関節円板の整復のみならず, 下顎頭部への新生骨の添加が認められ有効性を確認している. しかし, 顎関節内障患者の歯科矯正...
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Published in | 昭和歯学会雑誌 Vol. 26; no. 3; pp. 257 - 260 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学・昭和歯学会
2006
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ISSN | 0285-922X 2186-5396 |
DOI | 10.11516/dentalmedres1981.26.257 |
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Summary: | 臨床のポイント 顎関節内障を伴う不正咬合患者の歯科矯正治療には明確な指針がなく, その下顎位の設定に苦慮することが少なくない. このような患者の下顎位が, 一過性の安定を得ていても, 矯正治療では, 長期予後に不安の残る状態であれば積極的に安定位を求める必要がある. したがって, 我々は下顎位の安定性を得るために必要であれば, 急性症状の消失後, 種々の方法により積極的な関節円板の整復を試みている. 特に難治症例に対しては, 持続的顎矯正力を応用しており, その治療効果は, 関節円板の整復のみならず, 下顎頭部への新生骨の添加が認められ有効性を確認している. しかし, 顎関節内障患者の歯科矯正治療後の歯列ならびに顎関節の安定性, さらには関節円板の整復との関連については, 明確にされておらず, 今後とも長期的に整復後の変化を詳細に診査していく必要がある. |
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ISSN: | 0285-922X 2186-5396 |
DOI: | 10.11516/dentalmedres1981.26.257 |