二分脊椎に伴う角状後弯に対するDunn-McCarthy法による矯正固定術の治療成績

はじめに:Dunn-McCarthy法(DM法)は1989年に報告された腰仙椎固定法であるが,幼小児の二分脊椎・脊髄髄膜瘤の患者では仙骨や骨盤が小さくscrewやhookが設置しにくいため,好んで使用されることが多い術式である.しかし,本邦ではDM法のまとまった報告はほとんどなく,術後成績も症例ごとの差が大きい.今回,我々はDM法による腰仙椎矯正固定を行った症例の術後成績を調査した.方法・結果:症例は16例(手術時平均年齢8.7歳,平均追跡期間5年)あった.術前の平均後弯角は146度であったが,術直後52.5度,最終観察時は58.5度で良好に矯正維持され,全例骨癒合も獲得できていた.術中合併症...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 15; no. 11; pp. 1291 - 1297
Main Authors 宮下, 直人, 川上, 紀明, 大谷, 昴平, 大里, 倫之, 川上, 和紀, 齊藤, 敏樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.11.2024
日本脊椎脊髄病学会
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ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2024-1108

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Summary:はじめに:Dunn-McCarthy法(DM法)は1989年に報告された腰仙椎固定法であるが,幼小児の二分脊椎・脊髄髄膜瘤の患者では仙骨や骨盤が小さくscrewやhookが設置しにくいため,好んで使用されることが多い術式である.しかし,本邦ではDM法のまとまった報告はほとんどなく,術後成績も症例ごとの差が大きい.今回,我々はDM法による腰仙椎矯正固定を行った症例の術後成績を調査した.方法・結果:症例は16例(手術時平均年齢8.7歳,平均追跡期間5年)あった.術前の平均後弯角は146度であったが,術直後52.5度,最終観察時は58.5度で良好に矯正維持され,全例骨癒合も獲得できていた.術中合併症は硬膜損傷5例,胸膜損傷1例あり,術後合併症は15例(感染8例,縫合不全4例,インプラント関連合併症5例,proximal junctional kyphosis(PJK)1例)であった.考察:DM法ではロッドの尾側を仙骨翼の前面にクランク状に設置するため,力学上効果的に後弯矯正ができる特徴がある.二分脊椎・脊髄髄膜瘤に伴う脊柱変形に対する矯正手術では矯正損失,感染や偽関節などの合併症により治療に難渋することが多いが,本法は治療選択肢の一つとしてなり得る術式であると結論した.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2024-1108