自閉症児における感覚性刺激の選好(preference)に関する研究(原著)
異なったモダリティ(視覚,聴覚,触覚)からなる単一の感覚性刺激の選好(preference)について,選好の階層性をご者間の反応確率の比較による推移率の成立から分析・同定し,さらに複数モードからなる感覚性刺激の好みの予測性について検討を行なった。被験児は6名の自閉症児であった。実験1は異種モードからなる刺激の相対的な選好を同定するため計画された。刺激は被験児のボタン押しに対して随伴され,フェイズごとに2刺激ずつ比較された。結果,6人の被験児のうち4名において選好の階層性が弱い確率論的推移率の成立から同定された。実験2においては単一モードの感覚性刺激にかわって,視覚一聴覚,視覚一接触,聴覚一接触...
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Published in | 行動療法研究 Vol. 19; no. 1; pp. 37 - 47 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
31.03.1993
日本行動療法学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0910-6529 2424-2594 |
DOI | 10.24468/jjbt.19.1_37 |
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Summary: | 異なったモダリティ(視覚,聴覚,触覚)からなる単一の感覚性刺激の選好(preference)について,選好の階層性をご者間の反応確率の比較による推移率の成立から分析・同定し,さらに複数モードからなる感覚性刺激の好みの予測性について検討を行なった。被験児は6名の自閉症児であった。実験1は異種モードからなる刺激の相対的な選好を同定するため計画された。刺激は被験児のボタン押しに対して随伴され,フェイズごとに2刺激ずつ比較された。結果,6人の被験児のうち4名において選好の階層性が弱い確率論的推移率の成立から同定された。実験2においては単一モードの感覚性刺激にかわって,視覚一聴覚,視覚一接触,聴覚一接触の3つの組合せが使用された。実験2の結果は実験1の結果と比較された。本実験の手続きにより,自閉症児の選好について系統的な評価,分析が可能であることが示された。さらに異なったモードからなる複合激刺の選好の階層性は単一モード刺激の選好の階層性から予測されうることが示唆された。 |
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ISSN: | 0910-6529 2424-2594 |
DOI: | 10.24468/jjbt.19.1_37 |