合成ヒドロゲルをマトリックスとする医薬徐放化システム

有機溶媒により膨潤しやすいビニルピロリドン橋かけ共重合体を調製し, そのヒドロゲルをマトリックスとするエリスロマイシンおよびエリスロマイシンエストラートの徐放化を研究した. 薬剤は有機溶媒溶液含浸法によリマトリックスに容易に導入できた。in vitro実験において境界層が無視できる条件では, 薬剤溶出速度は溶出時間の1/2乗に反比例して減小した. この関係が成り立つ場合, 溶出速度はマトリックスヒドロゲルの含水率により容易に調節できる. 溶解度が低いエリスロマィシンエストラートでは境界層が形成されやすいことがわかった. 動物またはヒトの眼の中におけるこれらの薬剤の溶出速度は, 大部分の場合,...

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Published in高分子論文集 Vol. 39; no. 4; pp. 277 - 284
Main Authors 保坂, 俊太郎, 小沢, 均, 国友, 哲之輔, 丹沢, 宏, 村尾, 康雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 1982
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ISSN0386-2186
1881-5685
DOI10.1295/koron.39.277

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Summary:有機溶媒により膨潤しやすいビニルピロリドン橋かけ共重合体を調製し, そのヒドロゲルをマトリックスとするエリスロマイシンおよびエリスロマイシンエストラートの徐放化を研究した. 薬剤は有機溶媒溶液含浸法によリマトリックスに容易に導入できた。in vitro実験において境界層が無視できる条件では, 薬剤溶出速度は溶出時間の1/2乗に反比例して減小した. この関係が成り立つ場合, 溶出速度はマトリックスヒドロゲルの含水率により容易に調節できる. 溶解度が低いエリスロマィシンエストラートでは境界層が形成されやすいことがわかった. 動物またはヒトの眼の中におけるこれらの薬剤の溶出速度は, 大部分の場合, in vitroに近かったが, 一部の例では大きく相違した. 水に対する溶解度の低い薬剤をヒドロゲルマトリックスから徐放化する場合の製剤設計について若干の考察を行った.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.39.277