e抗原抗体系の経時的変動パターンによる慢性B型肝炎の分類

HBs抗原陽性慢性肝炎40例におけるe抗原e抗体をRIA法を用いて経時的に測定し,e抗原抗体系の経時的動向によってそれらを以下の4群に分類し検討した.A群(e抗原持続陽性群)12例,B群(e抗原再出現群)9例,C群(e抗原消失群)10例およびD群(e抗体持続陽性群)9例の4群である.A群の年齢層はC, D各群に比し有意(p<0.05)に若く,平均年齢で約10歳の相違が認められた.A, B各群はD群に比しGPT平均値は有意(p<0.001)に高値を示した.またC群のe抗原消失前後のGPT平均値を比較すると,e抗原消失後は消失前に比し有意(p<0.001)に低値を示し,これはe抗...

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Published in肝臓 Vol. 23; no. 3; pp. 253 - 258
Main Authors 加藤, 道夫, 益沢, 学, 奥山, 卓正, 松尾, 重雄, 矢倉, 廣, 松本, 洋子, 船橋, 修之, 鎌田, 武信, 阿部, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1982
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Summary:HBs抗原陽性慢性肝炎40例におけるe抗原e抗体をRIA法を用いて経時的に測定し,e抗原抗体系の経時的動向によってそれらを以下の4群に分類し検討した.A群(e抗原持続陽性群)12例,B群(e抗原再出現群)9例,C群(e抗原消失群)10例およびD群(e抗体持続陽性群)9例の4群である.A群の年齢層はC, D各群に比し有意(p<0.05)に若く,平均年齢で約10歳の相違が認められた.A, B各群はD群に比しGPT平均値は有意(p<0.001)に高値を示した.またC群のe抗原消失前後のGPT平均値を比較すると,e抗原消失後は消失前に比し有意(p<0.001)に低値を示し,これはe抗体の出現の有無とは相関が認められなかった.e抗原抗体系の経時的動向を観察することは慢性B型肝炎の病態把握と予後推定に重要であり,病態の安定にはe抗原の消失という事態が大きく関与していると考えられ,できるだけ若年齢の間にe抗原の消失を計る必要があると思われる.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.23.253