めまい診断のための効率的な眼振所見の取り方について
眼振に関する検査は, 自発眼振, 頭位眼振など非常に多くあるが, 多忙な耳鼻咽喉科の日常臨床では, その選択や実施は効率的な観点が極めて重要となる. この観点から当院で行っている眼振の取り方について紹介したい. まず, 考え方として, 次の3点を重視している. ⑴ めまいの原因疾患で最も多い良性発作性頭位めまい症 (BPPV) の診断と責任半規管の決定を行う. ⑵ 内耳機能を (半) 定量的に評価する. ⑶ 脳血管障害などの中枢性めまいを見逃さない. 前記3つのポイントを考えた結果, 当院で行っている眼振所見の取り方は以下のとおりである. ① 座位正面視の状態で前方視野の確保も可能な赤外線フレ...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 128; no. 1; pp. 19 - 29 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
20.01.2025
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 2436-5793 2436-5866 |
DOI | 10.3950/jibiinkotokeibu.128.1_19 |
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Summary: | 眼振に関する検査は, 自発眼振, 頭位眼振など非常に多くあるが, 多忙な耳鼻咽喉科の日常臨床では, その選択や実施は効率的な観点が極めて重要となる. この観点から当院で行っている眼振の取り方について紹介したい. まず, 考え方として, 次の3点を重視している. ⑴ めまいの原因疾患で最も多い良性発作性頭位めまい症 (BPPV) の診断と責任半規管の決定を行う. ⑵ 内耳機能を (半) 定量的に評価する. ⑶ 脳血管障害などの中枢性めまいを見逃さない. 前記3つのポイントを考えた結果, 当院で行っている眼振所見の取り方は以下のとおりである. ① 座位正面視の状態で前方視野の確保も可能な赤外線フレンツェルを装着し, 両眼の眼球運動の記録を開始. Videooculography (VOG) リアルタイム解析で常にその眼運動をトレース化. 座位正中で自発眼振を10秒程度記録. ② 診察椅子を倒して臥位正中位での眼振を観察. その後 supine head roll test を行う. ③ そして, 前方視野を確保し校正, 視標追跡検査 (ETT). 中枢例では衝動性眼球運動 (Saccade) も記録. ④ 臥位から座位に移行し reverse 眼振を確認. ⑤ 手動回転による簡易的な前庭動眼反射 (VOR) 回転検査で, 半規管機能評価を行う. 上記眼振所見の記録時間は合計で約5~8分程度 (初診時). すでに診断が確定した再診時は以前所見のあった項目だけになるため, 所要時間は数分以内になる. これら方針に基づいて記録された各種めまい症例の VOG 記録を提示する. |
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ISSN: | 2436-5793 2436-5866 |
DOI: | 10.3950/jibiinkotokeibu.128.1_19 |