日本における糖類基準値の策定上・活用上の課題 諸外国の摂取基準と日本の現状をふまえて
【目的】日本における糖類の基準値策定を検討するため,諸外国の糖類摂取基準の概要を把握し,糖類基準値の策定上・活用上の課題を整理した。【方法】2022年11月~2023年2月の間と2023年10月に12の国・地域 (アメリカ・カナダ,イギリス,フランス,ドイツ,オランダ,北欧・バルト諸国,オーストラリア・ニュージーランド,中国,台湾,韓国,欧州連合,世界保健機関) を対象として,糖類摂取基準の策定年,糖類の種類,指標の種類,基準値,年齢区分,対象疾患,摂取量の代表値の情報を抽出した。この情報と日本の現状を鑑みて日本における糖類基準値の策定上・活用上の課題を整理した。【結果と考察】調査対象のうち9...
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Published in | 栄養学雑誌 Vol. 81; no. 6; pp. 349 - 358 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
01.12.2023
日本栄養改善学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0021-5147 1883-7921 |
DOI | 10.5264/eiyogakuzashi.81.349 |
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Summary: | 【目的】日本における糖類の基準値策定を検討するため,諸外国の糖類摂取基準の概要を把握し,糖類基準値の策定上・活用上の課題を整理した。【方法】2022年11月~2023年2月の間と2023年10月に12の国・地域 (アメリカ・カナダ,イギリス,フランス,ドイツ,オランダ,北欧・バルト諸国,オーストラリア・ニュージーランド,中国,台湾,韓国,欧州連合,世界保健機関) を対象として,糖類摂取基準の策定年,糖類の種類,指標の種類,基準値,年齢区分,対象疾患,摂取量の代表値の情報を抽出した。この情報と日本の現状を鑑みて日本における糖類基準値の策定上・活用上の課題を整理した。【結果と考察】調査対象のうち9つの国・地域が糖類摂取基準を策定しており,そのほとんどが小児と成人に対して,食品加工・調理中に添加された添加糖類又は遊離糖類の摂取量を総エネルギー摂取量の10%未満又は5%未満にするよう推奨していた。対象疾患としては齲蝕,肥満,糖尿病,脂質異常症,メタボリックシンドローム,がんのような慢性疾患のほか,必須栄養素の摂取量との関連が挙げられていた。日本における糖類基準値の策定と活用に際しては,糖類の定義,基準値の設定,対象疾患の選定,摂取実態のアセスメント等について,糖類特有の課題や日本独自の課題が存在することが明らかになった。【結論】日本においてはこれらの課題をふまえて糖類基準値の策定を検討する必要があると考えられる。 |
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ISSN: | 0021-5147 1883-7921 |
DOI: | 10.5264/eiyogakuzashi.81.349 |