S状結腸嵌頓により腸間膜血腫を併発した鼠径ヘルニアの1例

症例は69歳男性。くしゃみを契機に両側鼠径部の激痛が出現し,当院に救急搬送となった。腹部CT検査では左側ヘルニア嚢内にS状結腸の嵌頓,右側には膀胱の脱出が疑われた。同日に緊急手術を施行した。左側はS状結腸の嵌頓を認めたが血流障害は認めず,右側の膀胱脱出は肉眼的には,はっきりしなかったため鼠径部からのアプローチで根治術を施行した。術後に貧血が進行し腹痛も持続したため,CT検査を施行するとS状結腸間膜血腫を認めた。内視鏡検査では,S状結腸に虚血性の変化を認めた。その後の状態は安定し退院となった。緊急手術時には腸管の壊死の有無だけでなく,腸間膜の損傷や血腫についても確認することが大切であると考えられ...

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Bibliographic Details
Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 31; no. 7; pp. 1053 - 1056
Main Authors 生越, 喬二, 西, 隆之, 三朝, 博仁, 山近, 大輔, 島田, 英雄, 伊東, 英輔, 大谷, 泰雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2011
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.31.1053

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Summary:症例は69歳男性。くしゃみを契機に両側鼠径部の激痛が出現し,当院に救急搬送となった。腹部CT検査では左側ヘルニア嚢内にS状結腸の嵌頓,右側には膀胱の脱出が疑われた。同日に緊急手術を施行した。左側はS状結腸の嵌頓を認めたが血流障害は認めず,右側の膀胱脱出は肉眼的には,はっきりしなかったため鼠径部からのアプローチで根治術を施行した。術後に貧血が進行し腹痛も持続したため,CT検査を施行するとS状結腸間膜血腫を認めた。内視鏡検査では,S状結腸に虚血性の変化を認めた。その後の状態は安定し退院となった。緊急手術時には腸管の壊死の有無だけでなく,腸間膜の損傷や血腫についても確認することが大切であると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.31.1053