喉頭癌T3例の再建の工夫 有茎舌骨筋弁を用いて
「はじめに」近年, 早期喉頭癌では放射線治療や喉頭部分切除を行うことで喉頭機能温存がはかられ, 施設における喉頭温存率も大きな差はない. しかし, 喉頭癌T3例では根治性を考え切除範囲が拡大されるため喉頭機能の再建が難しく, 機能温存の面で未だ満足いく結果を得ているとは言えない. もちろん喉頭機能温存を重視し切除後の再建材料を考慮するあまり切除範囲が不十分になることは避けるべきである. 優先されるべきは癌の根治性であり, 切除範囲を拡大した喉頭部分切除あるいは亜全摘術が行われるべきで, その上で如何に喉頭機能を再建するかを検討すべきである. 過去に本来の喉頭機能である発声, 呼吸, 嚥下の機能...
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Published in | 喉頭 Vol. 13; no. 2; pp. 78 - 82 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本喉頭科学会
01.12.2001
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Subjects | |
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ISSN | 0915-6127 2185-4696 |
DOI | 10.5426/larynx1989.13.2_78 |
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Summary: | 「はじめに」近年, 早期喉頭癌では放射線治療や喉頭部分切除を行うことで喉頭機能温存がはかられ, 施設における喉頭温存率も大きな差はない. しかし, 喉頭癌T3例では根治性を考え切除範囲が拡大されるため喉頭機能の再建が難しく, 機能温存の面で未だ満足いく結果を得ているとは言えない. もちろん喉頭機能温存を重視し切除後の再建材料を考慮するあまり切除範囲が不十分になることは避けるべきである. 優先されるべきは癌の根治性であり, 切除範囲を拡大した喉頭部分切除あるいは亜全摘術が行われるべきで, その上で如何に喉頭機能を再建するかを検討すべきである. 過去に本来の喉頭機能である発声, 呼吸, 嚥下の機能を温存するために切除範囲, 切除後の再建材料や喉頭の再建法が種々報告されてきたが, 切除すべき範囲が症例毎に異なり, 全ての症例に合う方法はない. 今回, 我々は声門上癌T3例で, 患側をできる限り大きく切除する喉頭亜全摘術を行った後, 硬組織の再建材料として健側の舌骨の一部を用いた方法を考案した. その結果, 喉頭を機能的に再建し, 満足する結果を得たので報告する. |
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ISSN: | 0915-6127 2185-4696 |
DOI: | 10.5426/larynx1989.13.2_78 |