NFE2L2変異陽性食道扁平上皮癌の 治療抵抗性に関する研究
進行食道癌治療では初回治療として化学療法が行われ,治療前効果予測はきわめて重要である.本研究では食道癌61例を対象としNFE2L2変異の有無が治療効果予測因子となりうるかを検討した.原発巣変異解析では,61症例中NFE2L2変異は13例 (21.3%)に認め,エクソン2に集中していた.初回化学療法を施行した50例では,奏効はNFE2L2変異例で8例中2例(25.0 %)で,野生型42例中30例 (71.4%)に比し有意に低かった.また初回docetaxel/cisplatin/5-fluorouracil療法を施行した43例中NFE2L2変異例5例は他の38例に比較し有意に全生存割合が低かった...
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Published in | 岩手医学雑誌 Vol. 75; no. 4; pp. 133 - 145 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
岩手医学会
01.10.2023
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ISSN | 0021-3284 2434-0855 |
DOI | 10.24750/iwateishi.75.4_133 |
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Summary: | 進行食道癌治療では初回治療として化学療法が行われ,治療前効果予測はきわめて重要である.本研究では食道癌61例を対象としNFE2L2変異の有無が治療効果予測因子となりうるかを検討した.原発巣変異解析では,61症例中NFE2L2変異は13例 (21.3%)に認め,エクソン2に集中していた.初回化学療法を施行した50例では,奏効はNFE2L2変異例で8例中2例(25.0 %)で,野生型42例中30例 (71.4%)に比し有意に低かった.また初回docetaxel/cisplatin/5-fluorouracil療法を施行した43例中NFE2L2変異例5例は他の38例に比較し有意に全生存割合が低かった.食道癌細胞株11株では4株(36.4%)にNFE2L2変異を認めた.変異株では野生型株に比較し抗癌剤による増殖抑制効果が有意に低かった.食道癌ではNFE2L2変異検索により効率的な治療抵抗性の予測が可能である. |
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ISSN: | 0021-3284 2434-0855 |
DOI: | 10.24750/iwateishi.75.4_133 |