免疫グロブリン製剤によるA型肝炎の感染予防に関する研究

著者らは,Algeriaに在留する日本人を対象にして,A型肝炎ウイルスの感染の実態とヒト免疫グロブリン製剤(I.S.G.)によるA型肝炎の予防効果についてretrospectiveな研究を行った.使用したI.S.G.製剤は,RIA法で400-800倍のHA抗体価を有し,これを体重1kgあたり4mgずつ2ヵ月の間隔で計3回筋注した.6ヵ月間の経過観察中HAVの感染が起ったと推定されたものは,I.S.G.非投与群の40名中4名で,うち2名はasymptomaticな感染で,他の2名は臨床的に急性肝炎を発症した.一方,I.S.G.投与群の53名では急性肝炎の発症例はなく,asymptomaticな感...

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Published in肝臓 Vol. 22; no. 7; pp. 943 - 952
Main Authors 志方, 俊夫, 宇治田, 弘一, 藤井, 雅之, 荒川, 泰行, 勝原, 徳道, 佐藤, 好信, 天木, 秀一, 神田, 靖男, 本田, 利男, 根本, 儀一郎, 金田, 春雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1981
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.22.943

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Summary:著者らは,Algeriaに在留する日本人を対象にして,A型肝炎ウイルスの感染の実態とヒト免疫グロブリン製剤(I.S.G.)によるA型肝炎の予防効果についてretrospectiveな研究を行った.使用したI.S.G.製剤は,RIA法で400-800倍のHA抗体価を有し,これを体重1kgあたり4mgずつ2ヵ月の間隔で計3回筋注した.6ヵ月間の経過観察中HAVの感染が起ったと推定されたものは,I.S.G.非投与群の40名中4名で,うち2名はasymptomaticな感染で,他の2名は臨床的に急性肝炎を発症した.一方,I.S.G.投与群の53名では急性肝炎の発症例はなく,asymptomaticな感染を示したものが1名認められた.両者のattack rateを比較すると,前者が10.0%,後者が1.9%で前者が有意に高く,I.S.G.の有効率は81%と算定された.以上の成績からI.S.G.の投与によりA型肝炎の発病を予防できることが改めて実証された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.22.943