メタゲノム解析の現状と将来 知識データベースの開発

地球上のあらゆる環境に存在する細菌は,巨大なバイオマスとして物質循環の主役を担っており,地球環境の恒常性の維持に欠くことのできない存在となっている。しかし,従来の研究手法では,例えば,どのような種がどれくらい存在し何をしているのか,という基本的な疑問にすら答えることが困難であった。DNAを解読する技術の急速な発展を背景に,環境中の細菌由来の膨大なDNA情報をコンピューターにより解析するメタゲノム解析手法を用いることで,細菌群集と環境との関係が明らかになりつつある。本稿では,メタゲノム解析について解説するとともに,加速度的に膨れ上がるメタゲノム情報から新たな知識を発見するための知識データベースの...

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Published in情報管理 Vol. 55; no. 3; pp. 167 - 175
Main Authors 森, 宙史, 山田, 拓司, 黒川, 顕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立研究開発法人 科学技術振興機構 2012
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ISSN0021-7298
1347-1597
DOI10.1241/johokanri.55.167

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Summary:地球上のあらゆる環境に存在する細菌は,巨大なバイオマスとして物質循環の主役を担っており,地球環境の恒常性の維持に欠くことのできない存在となっている。しかし,従来の研究手法では,例えば,どのような種がどれくらい存在し何をしているのか,という基本的な疑問にすら答えることが困難であった。DNAを解読する技術の急速な発展を背景に,環境中の細菌由来の膨大なDNA情報をコンピューターにより解析するメタゲノム解析手法を用いることで,細菌群集と環境との関係が明らかになりつつある。本稿では,メタゲノム解析について解説するとともに,加速度的に膨れ上がるメタゲノム情報から新たな知識を発見するための知識データベースの開発,さらには融合研究領域である今後のメタゲノム研究分野の展開について述べる。
ISSN:0021-7298
1347-1597
DOI:10.1241/johokanri.55.167