椎体Hounsfield unit値は腰椎後方椎体間固定術の骨癒合の予測因子となりうるか

はじめに:Hounsfield unit value(HU)値は骨密度と相関性を示し計測は簡便で,脊椎固定術におけるPS緩みの危険因子と報告されている.本研究はHU値が腰椎後方椎体間固定術の骨癒合に影響するかを検討した.対象と方法:2016年~2019年に腰椎後方椎体間固定術を行い1年以上経過観察した106例(141椎間)を対象とした.患者,画像,手術関連因子を評価し,HU値(L1~4の椎体中央で計測しL1のHU値,L1~4の平均,固定椎体の平均HU値),PS緩み,cage subsidence(CS),positive cyst sign(PCS)の有無も評価した.臨床成績は腰痛VAS,OD...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 12; no. 10; pp. 1240 - 1245
Main Authors 都井, 政和, 圓尾, 圭史, 有住, 文博, 楠山, 一樹, 木島, 和也, 橘, 俊哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.10.2021
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Summary:はじめに:Hounsfield unit value(HU)値は骨密度と相関性を示し計測は簡便で,脊椎固定術におけるPS緩みの危険因子と報告されている.本研究はHU値が腰椎後方椎体間固定術の骨癒合に影響するかを検討した.対象と方法:2016年~2019年に腰椎後方椎体間固定術を行い1年以上経過観察した106例(141椎間)を対象とした.患者,画像,手術関連因子を評価し,HU値(L1~4の椎体中央で計測しL1のHU値,L1~4の平均,固定椎体の平均HU値),PS緩み,cage subsidence(CS),positive cyst sign(PCS)の有無も評価した.臨床成績は腰痛VAS,ODI,JOABPEQを調査した.骨癒合群と骨癒合不全群で上記を比較検討した.結果:術後1年の骨癒合率は84%であった.骨癒合不全群で有意に高齢であったが,性別,BMI,骨密度,各項目のHU値は2群間で有意差を認めなかった.不全群ではPS緩み,CS,PCSの頻度が有意に高かった.HU値はPS緩みがあると有意に低いがCSとPCSでは有意差を認めなかった.不全群で術後1年後ODIは有意に高く,JOABPEQの疼痛関連,腰椎機能,歩行機能,社会生活障害において有意に低かった.結語:HU値はPS緩みの予測因子になりうるが骨癒合との関連は認めなかった.骨癒合不全因子は多岐にわたり,同定は困難であるが臨床成績悪化の原因となるため更なる調査が必要である.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2021-1004