新型コロナウイルス蔓延下における病院機能の維持と課題

新型コロナウイルスパンデミックが発生する前の2019年4月から,2023年5月に2類感染症から5類感染症に変更される直前の2022年3月までの院内データを解析し,実施してきた対策の評価を行った。神奈川モデルの重点医療機関として最大34床までの患者受け入れ態勢を確保し,私立医科大学病院の中でも特に中等症患者の受け入れでは,大きな実績を残した半面,延べ入院患者数や救急車搬入台数はコロナ禍前の6~7割程度にまで減少し,2020年11月に発生したクラスターは病院の経営に大きな爪痕を残した。手術件数も1割程度減少し,川崎市内の分娩件数の増加に反して当院での分娩件数も減少した。こうした状況の中,医療者への...

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Published in聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 51; no. Suppl; pp. S225 - S233
Main Authors 本橋, 伊織, 長島, 悟郎, 石井, 将光, 杉本, 麻衣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会 2024
聖マリアンナ医科大学医学会
St. Marianna University Society of Medical Science
Subjects
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ISSN0387-2289
2189-0285
DOI10.14963/stmari.51.S225

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Summary:新型コロナウイルスパンデミックが発生する前の2019年4月から,2023年5月に2類感染症から5類感染症に変更される直前の2022年3月までの院内データを解析し,実施してきた対策の評価を行った。神奈川モデルの重点医療機関として最大34床までの患者受け入れ態勢を確保し,私立医科大学病院の中でも特に中等症患者の受け入れでは,大きな実績を残した半面,延べ入院患者数や救急車搬入台数はコロナ禍前の6~7割程度にまで減少し,2020年11月に発生したクラスターは病院の経営に大きな爪痕を残した。手術件数も1割程度減少し,川崎市内の分娩件数の増加に反して当院での分娩件数も減少した。こうした状況の中,医療者へのさらなる肉体的,精神的負担を避けるための対策の結果,過度な超過勤務の増加を抑えることができた。地域に根差した市立病院として,その役割の再検討が必要と考える。
ISSN:0387-2289
2189-0285
DOI:10.14963/stmari.51.S225