個体に対する理想体重についての研究
統計学的にもとめられた標準体重は, 必ずしも個人にとっての理想体重ではないという考え方から著者自身について人体実験を行い次のような結論を得た。 身長約160cm体重83kgから56kgまで減量して, 低体重に概ね安定したと思われる1年間経過後, 体重を増加して行ったところ, 63kgまでは体肪脂量より除肪脂体重の方の増加分が大きかったが, 63kg以上では逆転, 66kg以上ではほとんど除肪脂体重の増加が見られなかった。 持久走トレーニングを開始した結果体重が減少したが61.3kgまでは体脂肪の減少が著明で除脂肪体重の減少は少なかった。61.3kg以下の体重になってからは除脂肪体重の減少が顕著...
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Published in | 体力科学 Vol. 25; no. 2; pp. 98 - 106 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本体力医学会
01.06.1976
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ISSN | 0039-906X 1881-4751 |
DOI | 10.7600/jspfsm1949.25.98 |
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Summary: | 統計学的にもとめられた標準体重は, 必ずしも個人にとっての理想体重ではないという考え方から著者自身について人体実験を行い次のような結論を得た。 身長約160cm体重83kgから56kgまで減量して, 低体重に概ね安定したと思われる1年間経過後, 体重を増加して行ったところ, 63kgまでは体肪脂量より除肪脂体重の方の増加分が大きかったが, 63kg以上では逆転, 66kg以上ではほとんど除肪脂体重の増加が見られなかった。 持久走トレーニングを開始した結果体重が減少したが61.3kgまでは体脂肪の減少が著明で除脂肪体重の減少は少なかった。61.3kg以下の体重になってからは除脂肪体重の減少が顕著になり, 体脂肪量の減少はほとんどみられなくなった。 血糖負荷試験での負荷前値への恢復の速さを指標にしてみると62.3kgの体重の時が最もよく, その体重から遠ざかるに従って恢復が悪くなる。 体重62kg以下での長距離ランニングトレーニングでは栄養状態や走り方の如何によって不整脈や左室前壁虚血所見があらわれる。 基礎代謝時呼吸商, 尿中窒素及びクレアチニン1日排泄量の消長や筋力等の測定成績からは決定的な証拠は得られなかった。 以上の諸成績から著者の理想体重は62~63kgの間にあるものと推定された。 |
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ISSN: | 0039-906X 1881-4751 |
DOI: | 10.7600/jspfsm1949.25.98 |