抗がん剤調製トレーニングにおける蛍光液と発光液の輝度及び視認性の検討

「緒言」がん患者においては, がんを治療するメリットが有害反応によるデメリットより大きいため, 抗がん剤が治療に用いられている. 一方, 職業として抗がん剤を取り扱う医療従事者にとっては抗がん剤に曝露されることによるメリットはないのに対し, 多くのがん患者の抗がん剤の調製や投与を行うため, 有害反応によって健康被害を受ける危険性は高くなる. 特に注射剤は液状のため, 混合の際に周囲に飛散しやすく, 抗がん剤汚染の原因となりやすい. 実際に抗がん剤の調製や投与に携わる医療従事者において, めまいや吐き気などの急性の症状や流産や発がんなどの症状が発現することが報告されている. 1-3) また, 抗...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 131; no. 9; pp. 1361 - 1367
Main Authors 野見山, 淳, 石渡, 俊二, 原田, 士郎, 杉浦, 麗子, 多賀, 淳, 小林, 正隆, 髙田, 充隆, 佐野, 裕之, 喜多, 綾子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.09.2011
日本薬学会
Online AccessGet full text
ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.131.1361

Cover

More Information
Summary:「緒言」がん患者においては, がんを治療するメリットが有害反応によるデメリットより大きいため, 抗がん剤が治療に用いられている. 一方, 職業として抗がん剤を取り扱う医療従事者にとっては抗がん剤に曝露されることによるメリットはないのに対し, 多くのがん患者の抗がん剤の調製や投与を行うため, 有害反応によって健康被害を受ける危険性は高くなる. 特に注射剤は液状のため, 混合の際に周囲に飛散しやすく, 抗がん剤汚染の原因となりやすい. 実際に抗がん剤の調製や投与に携わる医療従事者において, めまいや吐き気などの急性の症状や流産や発がんなどの症状が発現することが報告されている. 1-3) また, 抗がん剤を取り扱う医療従事者の尿中から抗がん剤が検出されることが報告されており, 取り扱う医療従事者の体内に抗がん剤が吸収され得ることは間違いない. 4) このような抗がん剤による汚染に対しては, 取扱者の手技の向上や閉鎖式混合器具の使用が有効な防止対策となり得る. 5)
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.131.1361