診断に苦慮し頸部外切開により摘出した咽頭腔外魚骨異物の1例

咽頭異物は耳鼻咽喉科の日常診療においては稀な疾患ではなく,その9割程度が魚骨異物であると言われている.今回われわれは咽頭腔外へ迷入し,頸部外切開による摘出が必要になった症例を経験したので報告する.症例は69歳女性で,タイを摂取してからの違和感を主訴に受診した.初診時には咽喉頭に魚骨を認めず,その他有意な所見も認めなかった.3日後の再診時に喉頭ファイバースコープにて咽頭後壁の腫脹を認めたためCT検査を施行し,咽頭腔外へ迷入した魚骨を発見した.頸部外切開を行い,下咽頭収縮筋層内より長径23 mmの魚骨を摘出した.術後は抗菌薬の投与と経鼻胃管による栄養管理にて順調に改善した.本症例では魚骨の刺入方向...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 67; no. 2; pp. 74 - 78
Main Authors 久保田, 俊輝, 高木, 芳夫, 三枝, 英人, 吉川, 衛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.04.2024
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Summary:咽頭異物は耳鼻咽喉科の日常診療においては稀な疾患ではなく,その9割程度が魚骨異物であると言われている.今回われわれは咽頭腔外へ迷入し,頸部外切開による摘出が必要になった症例を経験したので報告する.症例は69歳女性で,タイを摂取してからの違和感を主訴に受診した.初診時には咽喉頭に魚骨を認めず,その他有意な所見も認めなかった.3日後の再診時に喉頭ファイバースコープにて咽頭後壁の腫脹を認めたためCT検査を施行し,咽頭腔外へ迷入した魚骨を発見した.頸部外切開を行い,下咽頭収縮筋層内より長径23 mmの魚骨を摘出した.術後は抗菌薬の投与と経鼻胃管による栄養管理にて順調に改善した.本症例では魚骨の刺入方向が特異であったために初診時には有意な異常所見を認めなかったと考えられる.診察所見に乏しくとも,迷入を少しでも疑った場合は積極的なCT検査が必要であると考えた.
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.67.2_74