マウス胚の頭部初期血管系の形成過程の形態学的解析

ヒトを含め哺乳類の頭部血管系が,どのように形成されるのかは,いまだ十分解明されていない.本研究では,神経板と頭突起が形成される時期のマウス胚の連続切片と透明化ホールマウント標本を作製し,初期血管内皮細胞をPECAM-1の免疫染色で同定することにより,頭部の脈管形成の詳細を解析した.その結果,背側大動脈が第一大動脈弓との連絡部を超えて頭端領域まで伸長し,その拡張した先端部が神経板に接することが明らかとなった.さらに,背側大動脈先端部分と神経板直下の血管系が心臓原基や背側大動脈と独立して形成される可能性も示唆された.これまで背側大動脈の頭端についての記載は無く,頭部の主要な血管形成を担うとされてき...

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Published in岩手医学雑誌 Vol. 70; no. 3; pp. 91 - 99
Main Authors 齊藤, 美帆, 木村, 英二, 人見, 次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 岩手医学会 01.08.2018
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ISSN0021-3284
2434-0855
DOI10.24750/iwateishi.70.3_91

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Summary:ヒトを含め哺乳類の頭部血管系が,どのように形成されるのかは,いまだ十分解明されていない.本研究では,神経板と頭突起が形成される時期のマウス胚の連続切片と透明化ホールマウント標本を作製し,初期血管内皮細胞をPECAM-1の免疫染色で同定することにより,頭部の脈管形成の詳細を解析した.その結果,背側大動脈が第一大動脈弓との連絡部を超えて頭端領域まで伸長し,その拡張した先端部が神経板に接することが明らかとなった.さらに,背側大動脈先端部分と神経板直下の血管系が心臓原基や背側大動脈と独立して形成される可能性も示唆された.これまで背側大動脈の頭端についての記載は無く,頭部の主要な血管形成を担うとされてきた原始内頸動脈の発生も含めて,頭部血管系の脈管形成は再考されるべき課題と言える.
ISSN:0021-3284
2434-0855
DOI:10.24750/iwateishi.70.3_91