椎体形成術後隣接椎体骨折発症例の観察~椎体形成術と隣接椎体骨折の因果解明に向けた分析疫学研究

はじめに:椎体形成術(VP)においては隣接椎体骨折(AVF)が臨床上の問題となるが,VPとAVFの因果関係についてのコンセンサスは得られていない.今回我々は術後AVF発症例を観察し,VPとAVFの関連を考察した.対象と方法:民間6病院において2012年4月から2018年6月までに単椎体にVPが施行された連続症例を術後6ヶ月間追跡した.術後1週間・1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月以内のAVF発生割合およびAVF発生までの期間を記述した.続いてKaplan-Meier法を用いてAVFの累積発生を図示した.結果:基準を満たした406例が研究対象となった.各時点までのAVF発生は術後1週間が29/405例(7....

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Published inJournal of Spine Research Vol. 13; no. 5; pp. 740 - 745
Main Authors 隈元, 真志, 中原, 誠之, 久壽米木, 亮, 井上, 崇文, 吉田, 享司, 古江, 直也, 土方, 保和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.05.2022
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Summary:はじめに:椎体形成術(VP)においては隣接椎体骨折(AVF)が臨床上の問題となるが,VPとAVFの因果関係についてのコンセンサスは得られていない.今回我々は術後AVF発症例を観察し,VPとAVFの関連を考察した.対象と方法:民間6病院において2012年4月から2018年6月までに単椎体にVPが施行された連続症例を術後6ヶ月間追跡した.術後1週間・1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月以内のAVF発生割合およびAVF発生までの期間を記述した.続いてKaplan-Meier法を用いてAVFの累積発生を図示した.結果:基準を満たした406例が研究対象となった.各時点までのAVF発生は術後1週間が29/405例(7.2%),1ヶ月が58/377例(15%),3ヶ月が71/353例(20%),6ヶ月が74/317例(23%)であった.AVF発生までの期間は中央値16日であり,1ヶ月以内の発症が58/74例(78%)であった.累積発生曲線では急峻な立ち上がりが観察された.結語:VPとAVFの関連を示唆する結果が得られ,術後AVFに関する更なる研究の動機付けとなることが期待される.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2021-0062