ヒト軟骨細胞様細胞 (USAC) の増殖・分化に及ぼすdexamethasoneの効果
グルココルチコイドは関節リューマチや各種関節疾患の治療に広く用いられているが, 大腿骨骨頭壊死あるいはステロイド骨粗籟症による骨折などの重篤な副作用が問題となっている.口腔外科領域においても, グルココルチコイドの副作用として下顎頭骨頭壊死が報告されている.我々は過去にin vivoとin vitroで軟骨細胞あるいは骨芽細胞の形質を発現する細胞株 (USAC) を樹立することに成功した.本研究では, USACの増殖と骨芽細胞様細胞あるいは軟骨細胞様細胞への分化に対するdexamethasone (DEX) の効果を検討した.その結果, DEXは細胞増殖を濃度依存的に抑制した.コンフルエント直...
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Published in | 昭和歯学会雑誌 Vol. 26; no. 2; pp. 133 - 140 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学・昭和歯学会
2006
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0285-922X 2186-5396 |
DOI | 10.11516/dentalmedres1981.26.133 |
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Summary: | グルココルチコイドは関節リューマチや各種関節疾患の治療に広く用いられているが, 大腿骨骨頭壊死あるいはステロイド骨粗籟症による骨折などの重篤な副作用が問題となっている.口腔外科領域においても, グルココルチコイドの副作用として下顎頭骨頭壊死が報告されている.我々は過去にin vivoとin vitroで軟骨細胞あるいは骨芽細胞の形質を発現する細胞株 (USAC) を樹立することに成功した.本研究では, USACの増殖と骨芽細胞様細胞あるいは軟骨細胞様細胞への分化に対するdexamethasone (DEX) の効果を検討した.その結果, DEXは細胞増殖を濃度依存的に抑制した.コンフルエント直前にDEXを添加すると, 24時間後には軟骨細胞や骨芽細胞の分化マーカーであるムコ多糖, タイプIIコラーゲン (Col II) およびオステオカルシン (OC) の産生が促進された.しかし, 石灰化の開始に重要であるアルカリフォスタファーゼ活性の上昇はみられなかった.一方, DEXを添加して3日間, あるいは7日間培養すると, OCとCol II のmRNAの発現およびそれらのタンパク質産生は減少した.BMP-2にて前処理した細胞でも, DEXはOCとCol IIの発現を促進した.その発現変化は, Col IIよりもOCで著明であった.以上の結果から, DEXはUSACの細胞増殖を抑制するだけでなく, 細胞の分化も調節することが示唆された |
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ISSN: | 0285-922X 2186-5396 |
DOI: | 10.11516/dentalmedres1981.26.133 |