魚骨による頸部食道穿通に対して頸部小切開による摘出術を行った1例

症例は60歳代女性。前日の夜に魚(グレ)を食べた後から咽頭の違和感が出現した。食塊の飲み下しを試みたが違和感が消失しなかったため翌日前医を受診。CTで食道入口部に高濃度で鋭利な像を認め,魚骨による食道異物と診断した。加療目的に当院を紹介受診し,内視鏡的摘出術を試みた。食道粘膜内に埋没した魚骨の一部を確認したため吸引,把持を行ったが摘出困難であった。魚骨は食道筋層内に埋没している状態であり,外科的摘出術へ変更することとした。鎖骨上縁に小襟状切開をおき,甲状腺右葉下極を脱転すると,右総頸動脈内側に食道から穿通していた魚骨を確認できたため摘出した。術後経過は良好で術後第4病日に退院した。魚骨による食...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 31; no. 4; pp. 669 - 672
Main Authors 堀見, 忠司, 松本, 朝子, 大石, 一行, 澁谷, 祐一, 上月, 章史, 志摩, 泰生, 河北, 直也, 村岡, 玄哉, 西, 正暁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2011
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.31.669

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Summary:症例は60歳代女性。前日の夜に魚(グレ)を食べた後から咽頭の違和感が出現した。食塊の飲み下しを試みたが違和感が消失しなかったため翌日前医を受診。CTで食道入口部に高濃度で鋭利な像を認め,魚骨による食道異物と診断した。加療目的に当院を紹介受診し,内視鏡的摘出術を試みた。食道粘膜内に埋没した魚骨の一部を確認したため吸引,把持を行ったが摘出困難であった。魚骨は食道筋層内に埋没している状態であり,外科的摘出術へ変更することとした。鎖骨上縁に小襟状切開をおき,甲状腺右葉下極を脱転すると,右総頸動脈内側に食道から穿通していた魚骨を確認できたため摘出した。術後経過は良好で術後第4病日に退院した。魚骨による食道異物に対し内視鏡的摘出が困難であり,頸部小切開による摘出術を施行した1例を経験したので報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.31.669