魚骨が原因で発症したFournier症候群の1例

症例は74歳,女性。発熱と意識混濁のため当科へ搬送された。腹部CTで直腸内に異物を認め,直腸内の魚骨を摘出した。会陰部には壊疽性筋膜炎の所見があり,魚骨によって直腸穿孔をきたし,Fournier症候群を発症したと考えられた。入院後,全身状態が急激に悪化したため根治的な手術を断念し,局所の感染コントロールをベッドサイドで行いながら,人工呼吸器管理下にエンドトキシン吸着療法と持続式血液濾過透析を併用し,集学的治療を行ったところ全身状態は改善した。その後,排便に伴う肛門周囲の皮膚炎をコントロールするため人工肛門造設を行い,第56病日に退院された。Fournier症候群の治療において,根治的な手術が行...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 28; no. 7; pp. 965 - 968
Main Authors 工藤, 大輔, 丸山, 将輝, 笠島, 浩行, 原, 豊, 吉田, 淳, 鈴木, 伸作, 遠山, 茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2008
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Summary:症例は74歳,女性。発熱と意識混濁のため当科へ搬送された。腹部CTで直腸内に異物を認め,直腸内の魚骨を摘出した。会陰部には壊疽性筋膜炎の所見があり,魚骨によって直腸穿孔をきたし,Fournier症候群を発症したと考えられた。入院後,全身状態が急激に悪化したため根治的な手術を断念し,局所の感染コントロールをベッドサイドで行いながら,人工呼吸器管理下にエンドトキシン吸着療法と持続式血液濾過透析を併用し,集学的治療を行ったところ全身状態は改善した。その後,排便に伴う肛門周囲の皮膚炎をコントロールするため人工肛門造設を行い,第56病日に退院された。Fournier症候群の治療において,根治的な手術が行えないほど全身状態が悪化していても,集学的治療と非侵襲的な局所感染コントロールを行うことで,救命できることがあると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.28.965