重症僧帽弁閉鎖不全症を合併したLöffler心内膜炎患者の一例

Löffler心内膜炎は好酸球増多症候群に合併する心合併症である。今回重症僧帽弁閉鎖不全症を合併したLöffler心内膜炎患者の症例を経験したため報告する。 症例は74歳女性。胸痛と呼吸困難を主訴に救急搬送され,うっ血性心不全の診断となった。初診時の血液検査で好酸球上昇(3,240/μl),心エコー検査で左室内血栓を認め,Löffler心内膜炎が疑われた。ステロイド・抗凝固薬等の内科治療で効果がなく,経過中に重症僧帽弁閉鎖不全症(MR)が出現した。内科治療抵抗性のため,外科手術の方針となった。僧帽弁テザリングの程度は軽度であること,また血栓による可逆性変化である可能性が否定できず,まずは左室内...

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Published inCardiovascular Anesthesia Vol. 28; no. 1; pp. 141 - 145
Main Authors 張本, 英男, 孫, 慶淑, 横田, 菫, 山田, 高之, 山地, 芳弘, 坂口, 雄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会 01.09.2024
日本心臓血管麻酔学会
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Summary:Löffler心内膜炎は好酸球増多症候群に合併する心合併症である。今回重症僧帽弁閉鎖不全症を合併したLöffler心内膜炎患者の症例を経験したため報告する。 症例は74歳女性。胸痛と呼吸困難を主訴に救急搬送され,うっ血性心不全の診断となった。初診時の血液検査で好酸球上昇(3,240/μl),心エコー検査で左室内血栓を認め,Löffler心内膜炎が疑われた。ステロイド・抗凝固薬等の内科治療で効果がなく,経過中に重症僧帽弁閉鎖不全症(MR)が出現した。内科治療抵抗性のため,外科手術の方針となった。僧帽弁テザリングの程度は軽度であること,また血栓による可逆性変化である可能性が否定できず,まずは左室内血栓除去のみを行う方針となった。しかし血栓除去,自己心拍再開後の経食道心エコー所見では重症MRの所見が残存した。術中所見では乳頭筋や腱索の変性が高度であったことから僧帽弁置換術を追加した。Löffler心内膜炎は稀な疾患でありガイドラインによる僧帽弁形成術の治療方針の応用が困難である。線維化など組織変性が強いLöffler心内膜炎に併発したMRでは弁置換術が必要になる可能性があることが示唆された。
ISSN:1342-9132
1884-7439
DOI:10.11478/jscva.2023-2-009