80歳以上高齢者腹部緊急手術の問題点

1985年4月から2007年8月までに兵庫県立淡路病院で経験した,80歳以上の高齢者腹部緊急手術症例計485例を,同時期の70歳台腹部緊急手術症例629例と比較検討した。また1998年12月までの前期(287例)と1999年1月からの後期(198例)に分けての検討も同時に行った。平均年齢は85歳(最高齢99歳)。疾患別ではイレウスが後期で増加しており,その原因の54.5%が大腸癌であった。腸間膜血管閉塞症は70歳台と比較すると高頻度に認められた。術後死亡退院症例は61例(13.1%)であり,心血管系疾患に起因する腸間膜血管閉塞症や腹部大動脈瘤破裂が前後期を通して高い死亡率であった。高齢者に特有...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 29; no. 6; pp. 843 - 847
Main Authors 大石, 達郎, 小山, 隆司, 栗栖, 茂, 高橋, 英幸, 梅木, 雅彦, 黒田, 武志, 北出, 貴嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2009
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.29.843

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Summary:1985年4月から2007年8月までに兵庫県立淡路病院で経験した,80歳以上の高齢者腹部緊急手術症例計485例を,同時期の70歳台腹部緊急手術症例629例と比較検討した。また1998年12月までの前期(287例)と1999年1月からの後期(198例)に分けての検討も同時に行った。平均年齢は85歳(最高齢99歳)。疾患別ではイレウスが後期で増加しており,その原因の54.5%が大腸癌であった。腸間膜血管閉塞症は70歳台と比較すると高頻度に認められた。術後死亡退院症例は61例(13.1%)であり,心血管系疾患に起因する腸間膜血管閉塞症や腹部大動脈瘤破裂が前後期を通して高い死亡率であった。高齢者に特有の死亡原因として,術後に重篤な脳・心血管障害の発症が認められた。術後合併症により再手術を受けた症例は全例死亡しており,回避する対策が重要である。また,高齢者では心血管疾患の併存が高頻度であることに注意し診断と治療を行う必要がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.29.843