四次元筋骨格モデルを用いた嚥下時の舌骨運動の逆動力学解析

嚥下の神経・筋機構は非常に複雑で,バイオメカニクスは未だ明らかにされていない.本研究では,嚥下のバイオメカニクス研究に資することを目的に,四次元の筋骨格モデルを使って嚥下時の舌骨運動に関連する筋の逆動力学解析を行う. まず骨格系と空間および比較的大きな軟組織器官はCT画像から,嚥下時の骨・軟骨・軟組織の各器官の動きは嚥下造影画像(30f/sec)から,それぞれデータを得て,CG画像ソフト(3dsMax)上で骨格系と器官を時間軸(30f/sec)上で立体再構築した(四次元骨器官モデル).次に,解剖学的な知見で補助しつつ嚥下に関連する筋を再構築した.これを先の四次元骨器官モデルと統合することで,舌...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. 54Annual; no. 26PM-Abstract; p. S117
Main Authors 菊地, 貴博, 村越, 温子, 小池, 卓二, 橋本, 卓弥, 道脇, 幸博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2016
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.54Annual.S117

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Summary:嚥下の神経・筋機構は非常に複雑で,バイオメカニクスは未だ明らかにされていない.本研究では,嚥下のバイオメカニクス研究に資することを目的に,四次元の筋骨格モデルを使って嚥下時の舌骨運動に関連する筋の逆動力学解析を行う. まず骨格系と空間および比較的大きな軟組織器官はCT画像から,嚥下時の骨・軟骨・軟組織の各器官の動きは嚥下造影画像(30f/sec)から,それぞれデータを得て,CG画像ソフト(3dsMax)上で骨格系と器官を時間軸(30f/sec)上で立体再構築した(四次元骨器官モデル).次に,解剖学的な知見で補助しつつ嚥下に関連する筋を再構築した.これを先の四次元骨器官モデルと統合することで,舌骨が,解剖学的に連結されている甲状・輪状軟骨や,舌骨に起始・停止する筋とともに運動する様子がモデル化された.次いで,舌骨と甲状・輪状軟骨の質量と各重心周りの慣性行列,重力,舌骨及び甲状軟骨・輪状軟骨の変位,舌骨と甲状・輪状軟骨の重心に作用する力と重心周りの回転トルクをつかった運動方程式を用い,重心軌跡,速度および加速度を求め,逆動力学計算により筋張力を求め,これを最適化計算して筋張力を推定した.最適化計算の結果では,筋張力が発揮される順番は,筋電図などによる従来の研究と一致していたが,筋張力発揮のパターンは,複雑すぎるように思われた.今後は,重力加速度や生体組織の粘弾性の影響を考慮する必要があると考えられる.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.54Annual.S117