糖尿病性血管合併症における内皮由来過分極因子の重要性と治療戦略へのアプローチ

「1. はじめに」今日, 糖尿病は, 生活習慣病の一角を形成する最も注目される疾患の一つであることは周知の事実である. 糖尿病性血管障害は, 主として, 動脈硬化性病変を特徴とする大血管症(脳・心・末梢血管系の動脈硬化症)と, 糖尿病に特有の細小血管障害(網膜症・腎症・神経障害)に分類されているが, いずれも血管内皮細胞の機能障害が初期に認められ, 血管病の発症・進展に内皮細胞の機能変化が大きく関与している. ゆえに, 血管内皮細胞の機能変化を検討することは, 糖尿病研究における重要なテーマである. 1-3)血管内皮細胞は, 直接血液と接する一層の上皮細胞で, 種々の刺激により, 血管収縮因子...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 130; no. 6; pp. 777 - 784
Main Author 松本, 貴之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.06.2010
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.130.777

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Summary:「1. はじめに」今日, 糖尿病は, 生活習慣病の一角を形成する最も注目される疾患の一つであることは周知の事実である. 糖尿病性血管障害は, 主として, 動脈硬化性病変を特徴とする大血管症(脳・心・末梢血管系の動脈硬化症)と, 糖尿病に特有の細小血管障害(網膜症・腎症・神経障害)に分類されているが, いずれも血管内皮細胞の機能障害が初期に認められ, 血管病の発症・進展に内皮細胞の機能変化が大きく関与している. ゆえに, 血管内皮細胞の機能変化を検討することは, 糖尿病研究における重要なテーマである. 1-3)血管内皮細胞は, 直接血液と接する一層の上皮細胞で, 種々の刺激により, 血管収縮因子(endothelium-derived contracting factor;EDCF), 弛緩因子(endothelium-derived relaxing factor;EDRF), 増殖因子, 抗凝固因子等を産生, 放出し, 血管平滑筋細胞の張力, 代謝, 増殖や, 血液凝固等を調節している. 4-7)
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.130.777